小さなミスをしてしまったり、予期せぬトラブルが起きたりと、私たちの生活には様々な困難が待ち構えています。軽々と乗り越えられるものもあれば、「もうダメかも……」と心が折れそうになることも。困難や逆境をすべて回避できるに越したことはありませんが、なかなかそうもいかないのが現実ですよね。

最新の心理学を用いて人材育成を行う、久世浩司さん監修の一冊『レジリエンスで心が折れない自分になる』によると、精神的に疲れてしまったり、落ち込んだりした時に大切なのが「レジリエンス」という力なのだそう。これはわかりやすく言うと「立ち直る力」のこと。いわば心の筋肉のようなもので、レジリエンスを鍛えることによって“折れない心をつくる”ことができるのだそうです。

しかし、私たちの心の中には立ち直る力を邪魔する“敵”もいるのだとか! それが「マイナスの思い込み」という厄介者。本書では「マイナスの思い込み」というネガティブ感情を7種類の犬に例えて紹介しています。敵を知り己を知れば百戦危うからず。あなたや周りの人が心に飼っている「思い込み犬」をぜひチェックしてみてください。

 


クセになってしまいがちな「マイナスの思い込み」


私たちの心はつねに自分自身に話しかけ、自分との会話を行っています。このことを心理学では「自己対話」と呼びます。

「自己対話」は、普段はとても穏やかなもので、基本的には、自身の安心感を得られるような方向に働くのが普通です。

 

ところが、大きな失敗やトラブルなどが起こったときに、私たちの「自己対話」の内容がひどくネガティブになることがあります。これが習慣化してしまうと、「マイナスの思い込み」になります。

マイナスの思い込みは、クセになりがちです。問題やトラブルが起きたときには、それについて特定の思考パターンが生まれ、感情的に反応するようになるからです。

しかし、その思い込みのパターンが自分でわかるようになると、自分自身を理解して一歩前に進みやすくなります。


7種類のマイナスの思い込みを犬にたとえる


ネガティブ感情の原因となるマイナスの思い込みについて、心理学者のイローナ・ボニウェル博士は7種類に分類し、さらにそれを犬にたとえました。

ボニウェル博士が7つの思い込みを犬にたとえたのは、それらを楽しくわかりやすく、また自分自身が気づきやすく覚えると同時に、マイナスの思い込みは生まれ持った性格ではなく、ただの思い込みに過ぎない、ということを強調する狙いがありました。