BTSファンじゃなくても読む価値あり


BTSのVがグラミー・ミュージアムで受けたインタビューで「最近本を読み始めました。その本は僕にたくさんの慰めと共感の言葉をくれました。でもまだ本の表紙しか読んでいません」と語り、ベストセラーになったエッセイ『家にいるのに家に帰りたい』。日本でも発売前からBTSファンを中心に話題になり、満を持して出版された翻訳版は発売前重版が決定し、現在もネット書店で上位にランキングしています。

「私が抱えるモヤモヤを言語化し過ぎ!」BTSのVが読んだからだけじゃない、韓国エッセイヒットの理由_img0
写真:アフロ

1994年生まれの著者、クォン・ラビン氏が、ふとした瞬間に訪れる孤独感や不安、逃げたくなる気持ち、日常のちょっとした幸せ、誰かを愛することの痛みや幸福など、上手く言葉にするのは難しいけど、誰もが心の中に抱えている思いを綴っています。著者と同世代の20代の女性を中心に反響が大きく、温かみのあるイラストも相まって、Instagramを中心に拡散されています。


今回は『家にいるのに家に帰りたい』より、著者が「片思い」「失恋」「結婚観」について綴った箇所をご紹介します。“私だけのために書いてくれたみたい!”と共感の声多数、BTSファンじゃなくても読む価値ありです。


 


わたしだけが片思い


わたしは受けいれ、あなたは受けいれなかった。あの瞬間、あのときの選択。そんなわかれ道を何度も通りすぎ、わたしたちはいま、違う場所を見ている。わたしはあなたの後ろを、あなたは自分自身の前を。

あなたが見ていないところにあるわたしの愛。わたしの気持ちに気づくかな。たぶん、きっと気づかない。あなたの前に立つと、わたしは小さくなってしまうから。

ときおりむしょうにむなしくなる。あなたは手でつかもうと追いかけてもつかむことができない雲のよう。

かなわないとわかっているのに、いまもあなたが好き。

あなたもわかっているはず。恋に落ちた心は思いどおりにならないことを。

だから、悲しい。一緒に歩む未来を夢見ていたのに。結婚を、わたしたちにそっくりな子どもを、幸せな未来を。

いまも会いたい、いまも恋しい。忘れられないあなたへの思いがいっそう募る。なのに、ふたりの見ている場所はもう違う。その事実が苦しい。

わたしがあなたなら、いまもわたしを愛するのに。

 
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