人間は等しく歳を重ねていきます。若い頃は疲れ知らずで、何の手入れをしなくても肌にはハリがあり、髪だって艶々の黒々。シワやシミもなかったはずなのに……。でも、時は残酷なもので、じわじわといたるところに加齢がにじみ出てきます。コミックDAYSに連載中の漫画『47歳、V系』の主人公で、伝説的V系バンドのカリスマボーカル・美獣鴉琉荊(ミシシ・カルケ)の、人に言えない悩みはズバリ「加齢」! 本人にとっては深刻なのですが、周囲の人から見れば笑わずにはいられない!?

1巻の表紙はV系でばっちり決めたバージョン(左)と、現実が如実に現れたバージョン(右)の2種類!

コミックDAYSで毎週水曜の更新を楽しみにしているマンガがあります。それは、『47歳、V系』! 主人公は若い時に一斉を風靡した、伝説的ヴィジュアル系(V系)バンド「ディ・プロフンディス」のカリスマボーカル・美獣。47歳となった現在もソロアーティストとして活躍し、退廃的で耽美的な世界観で今もなお多くのファンを魅了しています。「僕が美しくある事が監獄(現世)で生きる囚人(ファン)の唯一の慰めだからね…」なんて台詞をさらりと言い、一見、昔と変わらない美貌を保っています。

 

でも、美獣の心の内側を覗いてみると、加齢や老後への不安だらけ。健康を気にしてこっそり青汁を飲んだり、老後のお金について心配したり、加齢臭をごまかすために香水をつけたりと、見えないところで涙ぐましい努力を重ねています。

 

退廃的な世界観でガチガチに固めてきた美獣にとって、永遠の美は絶対。夢を売るヴィジュアルアーティストであり続けるためには何でもしますし、ファンには絶対に加齢に悩む姿を知られるわけにはいきません。でも、敏腕美人マネージャーの金治(きんじ)やバンド仲間など、美獣が心を許している人たちには、加齢への不安がダダ漏れ状態になっています。

 

金治が言うように、V系アーティストが雑誌のアンチエイジング特集を血眼になって読んでいたり、待ち時間にこれ見よがしに筋トレをしていたりしたら、思わず吹き出したくなるし、何よりかわいい! 金治は密かに、枯れ線タレントに路線変更したら面白いのにと思っており、加齢を気にする美獣をからかったりはしますが、本人がやりたくないことや、イメージに合わない仕事を無理やりさせることはありません。デキるマネージャーだ!

 

他にも美獣よりも年上なはずなのに、少年のような美貌を保つ大御所V系アーティストKIYUや、美獣と高校時代からの友達で、年相応に老けている園宮など、ユニークなキャラが脇を固めています。

 

この作品は、単に加齢に悩む美獣を面白がり、愛でるだけのものではありません。基本的に4〜5ページの一話完結でさくっと読めるのですが、高校時代の園宮と美獣の友情物語にぐっと来たり、美獣のヴィジュアル系アーティストとしての熱意にほろりとさせられたりと、笑いの中にも読ませる場面がいくつも散りばめられていて、かなりの読み応えあり!

くよくよと加齢に悩み、ファンを失望させないようになんとか努力を重ねている美獣ですが、プロ意識の現れゆえ。でも、決して卑屈になっているわけではなし、今をしっかりと楽しんでいるところも好感度大です。それに、美獣がいいヤツすぎるからこそ、生暖かく見守ってくれる仲間にも恵まれているのでしょう。というわけで、アラフォー以上は今すぐ読むべし。若い世代の人たちも、いずれは通る道ということで、予習にはもってこいです。

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47歳、V系
桂明日香 講談社

美獣鴉琉荊(ミシシ カルケ)、47歳。伝説のV系バンド「ディ・プロフンディス」のカリスマボーカル。その暗黒美で監獄(現世)に生きる囚人(ファン)たちを虜にしてきた。そんな彼が今見据えるのは――、老後の生活設計! 漆黒の薔薇薫る彼が気に病んでいるのは――、加齢臭! 退廃的フレーズを紡いできた唇が今欲するのは、――青汁! 加齢に悩むそんな美獣を生暖かく見守るマネージャー・金治との、アンチ・エイジング・ヴィジュアル・アポカリプス!
(電子のみ)