軟骨の変性や摩耗が関節の痛みにつながる


では、「変形性関節症」とは一体どういった病気なのでしょうか。その理解にあたっては、まず関節の構造を知る必要があります。

1000万人の日本人が悩む、膝の痛みの原因とは?_img0
 

膝関節の上下には、足の支柱となる骨があります。これらの骨が直に接していたら、膝の関節を滑らかに動かすことはできません。骨はとても丈夫でかたい構造物だからです。だから、骨と骨の間にはしなやかで柔らかい軟骨(薄いグリーン部分)があります。この軟骨があることで関節内の摩擦を減らし、滑らかな動きを可能にしています。

 

膝関節は脚を動かすたびに使うことになりますから、常に機械的な刺激を受け続けています。そういった機械的な刺激に私たちの膝の軟骨は常に晒されているのです。このため、長年使い続けると、やがて軟骨は変性や摩耗を起こします。ちょうど長く愛用している靴の底がすり減っていくのと同じように、軟骨も少しずつすり減っていってしまうのです。

どんなに高級な靴を使っていても靴底は地面との摩擦を繰り返し、メンテナンスが必要になると思います。膝の軟骨はそれ以上に丈夫にできていますが、何十年も付き合っていくものですから、やはりそれ相応のメンテナンスが必要なのです。

また同時に、関節周囲には炎症が起こるようになります。関節軟骨への刺激が増え、すり減っていくのに加え、炎症も生じるようになると、軟骨を形作る細胞は死を迎えていくこととなります。軟骨はそもそも再生能力が比較的乏しいことが知られており、そのようにして軟骨は薄くなっていき、関節の滑らかさを失っていくことになります。

滑らかさを失い、炎症が生じた結果として関節は痛みを出すようになります。