折れない心=レジリエンス脳の作り方


レジリエンスとは、折れない心のことを言います。折れない心は、DNAで規定されているわけでも、天賦の才でもありません。間違いなく後天的に育まれる私たちの能力の1つといえます。逆にいうと、初めから折れない心をもっている人なんていません。

レジリエンス脳を育むキーは、うまくいった、成功した、成長を実感できたというときの振り返りのあり方です。すなわち、成功体験、成長の実感のあるタイミングで、過去の失敗やストレス体験、モヤモヤ、葛藤をどれだけ想起できるのか、ということがレジリエンス脳を育むためのキーになってきます。

ストレスに強い人と弱い人の差とは?「ストレスを味方につける方法」を解説!_img4
 

ポジティブな感情が発露された状態でこの辛い体験の記憶、エピソード記憶を想起すると、辛い体験の記憶が、ポジティブな感情記憶と結びつき、感情の書き換えが起こるのです。そうすると、過去の辛く苦しかった経験、つまりプロセスにおける失敗やストレスは、「その経験があったから、この喜びを感じられているのだ」として、成功や成長のための一部であると脳に刻み込まれるのです。

 

苦しい「点」として残っていた記憶が、むしろ価値があり、自己の成功・成長の後押しをしてくれる大切なものと脳に記憶され、折れない心、レジリエンス脳が育まれていくのです。

著者プロフィール
青砥瑞人さん:
応用神経科学者。株式会社DAncing Einstein代表。米国大学UCLAの神経科学学部を飛び級卒業。神経科学を軸にその理論を応用して、実際の教育現場や企業とコネクトし、人の成長やWell-beingのヒントを提供するDAncing Einsteinを創設。空間デザイン、アート、健康、スポーツ、文化づくりなど垣根を超えた活動を展開している。また、AI技術も駆使し、NeuroEdTech/NeuroHRTechという新分野も開拓。同分野にて、いくつもの特許を保有する「ニューロベース発明家」の顔ももつ。近年では、海外や国連関連のイベントでの講演活動に加え、大手企業やNPO、教育機関と連携、提携し、新しい学び方、生き方、文化づくりにも携わる。著書に『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中』(KADOKAWA)がある。

ストレスに強い人と弱い人の差とは?「ストレスを味方につける方法」を解説!_img5
 

『HAPPY STRESS (ハッピーストレス) ストレスがあなたの脳を進化させる』
著者:青砥瑞人 SBクリエイティブ 1815円(税込)

なにかと不安視・敵対視されてしまう「ストレス」の正体、およびそれが身体に影響を及ぼす仕組みを、自然科学の観点から細かく解説。さらに、負担に感じるストレスを快適な存在に変えていくさまざまな方法を紹介します。毎日の生活を豊かにする知恵が詰まった一冊です。



イラスト/市村譲
構成/さくま健太