「次の世代の経営者のみなさんの力になりたい。女性経営者を支えたいという想いもあります」。そう話すのは、昨年末までとある企業で取締役を務めていた40代のAさん。次のキャリアのひとつとして社外取締役の機会があればぜひ挑戦してみたいと話します。
「2030年までに女性役員比率30%を目指す」と、今年3月に会員企業に呼びかけたのは経団連。日本の上場企業における女性役員比率は6%にすぎず(※)、女性役員比率30〜40%台が一般的な海外の主要国と比べると大きな開きがあります。女性役員が一人もいない上場企業も、日本では実に半数以上にのぼります。
一方で、実は「役員を目指す女性」自体は増えているという実態があります。筆者が経営する会社では今年1月から取締役・社外取締役・監査役などの「役員」として働きたい女性たちと企業とをマッチングするサービスをスタートしたところ、これが大好評。想定の2倍以上のペースで、すでに100人を超える女性のみなさんにご登録いただいています。
「どんな人が登録しているの?」このお話をすると必ず聞かれる質問です。どんな人が役員を志すのか? なかなかイメージがつかない方が多いのかもしれません。
年齢は40代・50代が中心です。30代以下や60代以上の方も10数%ずついらっしゃいます。
おもな経験職種は経営企画や事業企画の方が最も多く20%。以降、財務・ファイナンス10%、マーケティング15%……と続きます。
弁護士や会計士などのいわゆる「士業」の方もいらっしゃいますが、全体で1割ほどです。多くは事業会社で経営やマネジメントを経験してきた方々になります。
現在の在職状況については企業で常勤の仕事をされている方が36%で最も多く、ついでフリーランス31%、会社経営30%と続きます(複数回答)。ご自身で会社を経営されている方が30%いらっしゃるというのも特徴的なデータかもしれません。企業で常勤の方々に関していうと、取締役や本部長クラスの方が中心です。
みなさんに希望する仕事内容をたずねてみると、実は「社外取締役」を希望される方が実に85%! 非常勤の監査役を希望される方も30%おり(複数回答)、全体的に非常勤の仕事を希望される方が圧倒的多数です。
会社勤めだったり、ご自身の会社経営だったりと常勤のお仕事をされながら、並行してできる非常勤の仕事を探されている方が多いというのは、パラレルキャリアが一般的になりつつある現代の世相を反映しているように感じます。
では、こうした女性たちは、なぜいま、役員を目指すのでしょう?
とある上場企業で社外取締役として働くBさんは、そもそも社外取締役に就任したこと自体は「たまたま」だったといいます。
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