若さの秘訣は好き勝手に生きること


とある日の私の外来に、102歳の女性が受診しました。飲んでいる薬は便秘薬のみ。これまで病気という病気をしたことがないということでした。外見上は70歳と言われても驚かないほど若々しく、しっかりと自分の足で歩いて受診をされました。

お会いした瞬間、年齢が間違っているのではないかと思い、私は何度もカルテを見直してしまいました。それほど若々しかったのです。本人は「気持ちはまだ22歳よ」と笑っています。しかし、確かに102歳でした。

そこで、自己紹介を終えて一言目に「若さの秘訣はなんですか?」と聞いてみました。すると、こんな答えが返ってきました。

 

「好きなものを食べて、細かいことは気にせず、好き勝手に生きることかしら」

一緒に来院した孫からは「祖母はステーキが大好物で、週に一度はステーキを食べています」との補足がありました。

「ステーキが大好きでね。でも、もう思う存分食べたから、いつ死んでもいいわ」

ほんの数分のやりとりでしたが、記憶に残るには十分すぎるぐらいのインパクトでした。102歳で、ステーキを食べて、元気に過ごしている。私には想像できていなかった「老後」だったからです。

 

歳をとると脂っぽいものは胃もたれするようになる。赤い肉や脂身は健康に悪い。そんな話を耳にすることもありますが、それらの言葉が全くもって無力化されてしまうような一幕でした。

 

「加齢イコール老化ではない」とこれまでお伝えしてきましたが、まさにそう感じられた瞬間でした。一方で、70歳ですごく年老いて見えるという方もいます。このような違いはどこから来るのでしょうか。


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