連載の第1回目で、「老化の25%ぐらいは遺伝的な影響があるかもしれない」と説明しました。だとすると、残りの75%は何なのでしょう。
 

老化と関わりの深い血管危険因子とは


答えの一端を教えてくれる研究があります。
    
この研究では、米国で中央値85歳の1677人の参加者を14年間観察し、加齢に伴う身体機能や認知機能の変化を追跡しました(参考文献1)。高齢な人を多く含んだ試験でしたから、いずれの人も測定の結果は少しずつ衰えていましたが、このうち約5割の891人が機能を維持できていました。

機能を維持した人たちの特徴を見てみると、予想通りといえば予想通りかもしれませんが、持病が少ない、「血管危険因子」が少ないという共通点がありました。

ここで言う「血管危険因子」というのは、脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満といったものです。これらには、いずれも「自覚症状を感じにくい」という共通点があり、「体調が悪いわけではないのになぜ治療をするのか分からない」と言われてしまうことも多いのですが、このように老化にも関わってくるのです。

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実際に、心臓の病気を持つ人、高血圧のある人、肥満のある人は、老化の進みが早いという特徴が見られます。

 


次回はもうひとつ、興味深い研究をご紹介します。

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参考文献
1    Newman AB, Arnold AM, Sachs MC, et al. Long-term function in an older cohort--the cardiovascular health study all stars study. J Am Geriatr Soc 2009; 57: 432–40.

構成/中川明紀
写真/shutterstock


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