予防の効果が過小評価されている


まさに良いことだらけで、けがを除けば健康リスクも少ない。それにもかかわらず、どうして人は運動をしないのでしょうか。

 

ここに、「予防」という概念の難しさが詰まっていると思います。健康や病気ということに関して言えば、どうしても「予防」より「治療」の方が効果が見えやすく、注目されがちです。逆に言えば、「予防」の効果は過小評価されやすいのです。

 

運動の場合は、「運動した後にさっぱりした」「体重が減った」などの実感が得られるため、全く効果の感じられない予防医療よりは有利かもしれません。ただ、それでもなお、「本当にがんになりにくいのか?」「 糖尿病を防いでくれるのか?」といったところは体として実感できないものです。このため、運動の効用はどうしても低く見積もられてしまいがちです。

しかし、実際にはとても幅広い効果が期待できるのです。私たちは、「過小評価している」ことに意識的であるべきでしょう。

 

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参考文献
1 Kodama S, Saito K, Tanaka S, et al. Cardiorespiratory fitness as a quantitative predictor of all-cause mortality and cardiovascular events in healthy men and women: A meta-analysis. JAMA - J. Am. Med. Assoc. 2009; 301: 2024–35.
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構成/中川明紀
写真/shutterstock


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