運動の話をするとよく、「じゃあ一体どのぐらい運動をすれば良いのでしょうか」という質問を受けます。これに対しては「週に2回は必要だ」という意見から、「毎日やらなくては意味がない」という意見まで様々な声が聞かれます。

実際に科学が導く答えは「まず0より1を」というものです。

「運動なんてちょっとやっただけでは意味がない」と考える方もいるかもしれません。しかし、実際にはそうでもなさそうなのです。

それを示唆する研究はいくつかあるのですが、その中で、「運動を週末だけでも始めてみよう」と思っている方に勇気を与えてくれる研究を紹介したいと思います。

 


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毎日1万歩を歩く人は死亡率が低い


イギリスで行われたこの研究では、40歳以上の約6万3000人を対象として、全く運動をしない人、週に150分未満の運動をしている人、週末にだけ最低150分程度の運動をしている人、そして週に3回以上の頻度で合計150分以上の運動をしている人に分けられました(参考文献1)。ここで「運動」に含まれたのは、ウォーキングや軽い水泳、芝刈りといった程度のものです。

 

すると、全く運動をしていない人と比較した時に、週に150分未満の運動をしている人や、週末にだけ運動をしている人でも死亡リスクが約6~7割に減少するという相関が見られることが分かりました。

このことから、「平日は忙しくて難しいけれど、週末ならなんとか」という人でも「頑張る甲斐がある」と考えられます。

もう一つ、興味深い研究を紹介したいと思います。40歳以上の人を対象に、歩数と死亡率の関連を検討した研究です(参考文献2)

 

このグラフは横軸が1日あたりの歩数、縦軸が死亡率になっていて、1日あたり2000歩から4000歩、6000歩と増えるにつれて、死亡率が低下していく様子が綺麗に見られていることが分かると思います。途中で頭打ちになってしまっていますが、少なくとも1万歩ぐらいまでは歩数が増えれば増えるほど死亡率の低下と相関しているということが見えてきます。

少なくともある一定のところまでは、「運動はやればやるほど効果が出るのかもしれない」ということが言えそうです。

 
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