本来、多くの国民の賛同を得られるはずだった政策に対してさえも、猛烈な批判が寄せられているということは、政府に対する不信感が極限に達していることを伺わせます。政府はモラルを尊重する意思がないと国民が感じてしまえば、当然、国民の側もモラルなど気にしていられないという状況になり、社会秩序が崩壊する可能性が高まります。
政府は「安全安心」などという空虚な言葉を繰り返すのではなく、これまでの失策を認め、国民に対して真摯に謝罪した上で、テレワークへの協力を呼びかけるべきだと思いますが、今の政府にこうした「まっとうな」対応を求めるのは難しいでしょう。
一方、国民にとってはいくら政府を批判したところで、状況がすぐに改善される可能性はほぼゼロですから、結局のところ自衛する以外にリスクを回避する方法はありません。
「こんな指示に従っているのはバカバカしい」と思ってしまうかもしれませんが、五輪開催期間中は世界中から多くの人が来日しますから、やはり感染リスクは高くなります。政府の要請とは関係なく、大会期間中はできるだけ外出を控えた方が安全でしょう。
仕事によっては現場への出勤が必須だったり、会社の意識が低くテレワークを実施するつもりがないところもあるかと思います。限度はあるでしょうが、それでも言うべきことは言い、何らかの交渉はした方がよいと思います。完全にテレワークへのシフトは不可能にしても、出勤日や時間をある程度、柔軟に設定することでリスクを減らすことは可能です。
今は試練の時ですから軽率な行動は控えた方がよいですが、どうしても会社の対応にガマンならないという場合には、コロナ終息後にすぐに転職できるよう、準備をしておくというのもひとつの考え方だと思います。実際、米国では会社のコロナ対応に納得がいかず、給料の良い企業でもあっさりと辞めてしまう人が増えているそうです。
すぐに決断できる人は、貯金など、ある程度の余裕があると考えられますから、万人に当てはまることではありません。しかしながらコロナ後にやってくる新しい社会のあり方を考えると、柔軟な働き方に理解のない企業に在籍していることは、それだけでリスク要因となります。そのような企業は徐々に社会から見放されていくことになるでしょうし、そうした企業に勤め続けることは自分自身のためになりません。
前回記事「大坂なおみ選手の「うつ告白」で、“完璧”と“ドラマ”求めるスポーツビジネスに訪れる変化」はこちら>>
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