28歳を自称する説得力を持たせなくていけない


「死ねばいい」とキメゼリフを吐きながら、邪魔な人間を次々と殺してしまうリカ。たしかに恐ろしいヒロインですが、その振り切った行動には、どこか笑ってしまうところがあります。

高岡早紀さん、48歳。自称28歳の“純愛モンスター”を演じる説得力_img3

©2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会

「『笑ってもらえるかな』と思いながら演じてはいないんです。リカは冗談を言ってるわけでもなくつねにすごく真剣なんです。自分が両親と暮らした家を再現して人形の家を作ったりするのも、あれこそがリカが本当に夢見ている幸せなわけで。でも度を越して真剣な人って、なんか滑稽に見えませんか。何をそんなに一生懸命やってるの? みたいな。きっとプロデューサーや監督はそれを見越していたんだと思いますが、私は真剣に大真面目にやっていれば、リカの悲しさや切なさは伝わるだろうなと。笑えて怖いけど、何か刺さったな、と思ってもらえたらいいな」

高岡早紀さん、48歳。自称28歳の“純愛モンスター”を演じる説得力_img4

©2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会

その最たるものが「28歳を自称すること」。「引かれてしまわないか……」と、演じる上で一番のネックだったセリフです。

「28歳って女性にとってはいろんなことを考える年齢ですよね。リカがそれを意識していたかどうかはわからないですけど、なにかの拍子で『28歳で結婚する』という信条を持ち、『28歳』と言い続けることが正義と思ってしまった。リカの誕生秘話を描いたドラマ『リカ~リバース〜』では、私はリカの母親を演じているのですが、リカがサイコになったのはあの家庭で育ったからというのはあると思いますし。すべてではないけれど、ピュアな恋を夢見るところはきっと母親から受け継いだものです。28歳にこだわるのも、その年齢が母親となにか関係しているのかもしれません」

女手ひとつで育ててくれた母を見て


「28歳は次男を産んだ後で、最高に幸せだった頃」というご自身を振り返っても、人生の「絶対的な指針」として、お母さんの存在があるそうです。

「小さい頃に父親をなくし、母親に育ててもらいました。母と父が別の商売をしていたので、母は朝と晩とでふたつの商売を切り盛りしながらーーこれ、お涙頂戴したいわけではなく、ほんとうに睡眠時間を削りながら私達を育ててくれました。それを見て育っているので、その母に負けないように、とつねに考えています。23歳で結婚して24歳で出産した母を見て、私もそうしているし、母はこうだったから、それより恵まれている私はもっとできるはずとか。そういう意味では自分の子供たちに対しても、特に一番下の女の子は、やっぱり私を見ているなとすごく感じます」