丁寧につくられた色とりどりの料理が並ぶテーブルに、4人の家族(といっても、血縁とは違う)が集まり、のんびりと会話しながら美味しく食べるごはん。映画『青葉家のテーブル』の画面に満ちるのは、機能的で無駄のない、でもどこか懐かしいような道具たちが醸し出す心地よい空気。すっかり日常となった「おうち時間」をこんな場所で過ごせたらなあと思う人もきっと多いに違いありません。

主演は、コロナ禍以前から「家にいることは全然苦じゃなかった」と口をそろえるおふたり。「家は全然オシャレじゃないです」と語る西田尚美さんと、「コンクリート打ちっぱなしの空間とか(カッコいいけど寒そう……)と思っちゃう(笑)」と笑う市川実和子さんは、昔からどこかちょっと似たタイプだったようです。モデルから女優へ、20年間も変わらずに活躍するお二人、その友情とは、振り返るあの頃とは、どんなものでしょうか?

 


モデル時代から尚美ちゃんは「憧れの先輩でした」(市川)


90年代、「anan」「non-no」などのファッションモデルとして一時代を築いたお二人。当時、雑誌での共演は経験していますが、その後の女優としての活動では、実ははじめての共演だそうです。

 

市川実和子さん(以下、市川):ドラマや映画では共演してないけど、雑誌では。この間、若かりし頃「non-no」に二人で出てた写真を尚美ちゃんがTwitterにアップしてて。


西田尚美さん(以下、西田):懐かしいの一言に尽きるでしょ。

市川:あの当時から、私にとっては「あこがれの先輩」でした。

西田:ここは素直にありがとうと言います(笑)。あの頃からお互いに知ってはいたけど、そんなに付き合いがあったわけではないんだよね。

市川:私って、モデルの友達がいないんですよ。つるむのは妹(市川実日子)だけ。

 

西田:私もずっとひとり。お仕事関係でもプライベートでも仲良くしている人は、少ない方だと思う。実和子ちゃんと共通の友人がいて、その子を通じて何となく知っているという感じだったし。

市川:だからお互いに「どういう人」なのかは知らない(笑)。

西田:まぁでも、だいたい「こういう感じ」なんだろうなっていうのは。

市川:こういう感じ(笑)?

西田:群れたりしないでも付き合える人、なんだろうなっていうのは。いまこうやって仕事を一緒にやっても気構えないで済むのは、たぶん若い頃からそういうふうに感じていたのもあると思う。

市川:それはありますよね、若い頃から。群れるのが苦手、っていうより、昔から誰かに誘われるってこと自体がない(笑)。

西田:私も(笑)。私たちの仕事って特殊で、今どんな仕事をやってるか本人から聞くことよりも共通の人から知ることが多い気がします。昔の友達から「見たよ」って連絡をもらったりするけど、私はあんまりまめに連絡を取るほうじゃなくて。連絡をもらったときのやりとりだけで終わったり。そういうところ、今も全然変わってないし。変わりたいと思ったこともないかも。

 

市川:私も変わらない。っていうか、変われないっていうか(笑)。でも同じ時代にモデルをやっていた人には、「同じ学校出身」みたいな気持ちがあるかな。今でもドラマとかで女優をやっているのをみると、なんか不思議な親近感を感じる。しかも今回の作品は「ある時代を一緒に生きた、でもしばらく離れていた親友」という関係で、時代設定も90年代で、自分と重なることは多かった気がする。20年経って、あのなんとも言えない時代の匂いが立ち上がってきて。相手が尚美ちゃんだから、作る必要もなかったし。

映画『青葉家のテーブル』より (c) 2021 Kurashicom Inc.


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