長生きしたければ食べる量を減らすべし
死ぬこと自体はプログラムされていて逆らえませんが、年長者が少しでも元気に長生きして、次世代、次々世代の多様性の実現を見届け、そのための社会基盤を作る雑用を多少なりとも引き受けることは、社会全体にとってプラスとなります。ですので、長生き願望は決して利己的ではなく、当然の感情です。またヒトの場合、長生き願望は死に対する恐怖という側面もありますが、その恐怖の根源には、しっかりと次世代を育てなければならない、という生物学的な理由があります。最低でも、子供がある程度大きくなるまでは頑張って生きないといけないのです。
多くの生物では、栄養の摂取量が少し減ると寿命が延びます。これは「食餌制限効果」または「カロリー制限効果」と呼ばれています。
食餌を減らすと寿命が延びる理由の一つとして、代謝の低下が考えられています。生物は呼吸によって栄養を燃やして、エネルギーを得ています。エネルギーは、細胞の活動や、哺乳動物の場合には体温を維持するのにも使われます。当然、栄養が多ければそれだけ燃やす量も多くなります(「代謝が活発になる」と言います)が、副産物も多く出ます。
その一つが活性酸素という物質で、DNAやタンパク質を酸化、つまり錆びさせて、それらの働きを低下させます。この活性酸素の量が食餌制限によって減少し、寿命延長に貢献していると考えられています。
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