灯台下暗しなアンチエイジング方法

「食事の量が減れば寿命が延びる」はホント?長生きを実現する意外な方法とは_img3
 

カロリー制限に類似した効果が期待される薬としてメトホルミンがあります。メトホルミンは糖尿病の治療薬として1940年代から使われている薬で、肝臓での糖新生を抑制し、血糖値を下げる作用があります。この薬の投与を受けていた糖尿病の患者さんは長生きということが報告されました。モデル生物などを使って確認したところ、マウスなどでも延命効果が確認されました。糖尿病の患者さんに長いこと投与されていたので、ヒトでの効果のほうが先にわかった珍しい例です。予期せぬプラスの副作用があったわけです。

 

古くからある薬なので、すでに特許も消滅しており値段も安いです。ただ、アンチエイジング薬として糖尿病ではない健康な人が利用するには、まだ安全性と効果の確認が必要です。現在調べられているところです。

次に紹介するのは、ラパマイシンという薬です。臓器移植後の拒絶反応の軽減に用いられる免疫抑制剤で、がんの治療薬としても使われています。栄養などを感知して細胞を増殖させる「TOR(トア)経路」というシグナル伝達経路があるのですが、ラパマイシンはその伝達に関わるタンパク質を阻害する働きがあります。その働きによって代謝が低下するため、カロリー制限と似たような効果を引き起こすわけです。

ラパマイシンを餌に混ぜると、酵母、線虫、ハエで寿命の延長効果が見られます。マウスを用いた実験がアメリカなどのグループによって行われ、シニアのマウス(ヒトで60歳相当)の餌にラパマイシンを混ぜて与えたところ、オスで9%、メスで14%の寿命延長効果が見られました。ただ、ラパマイシンは免疫抑制効果があるため、健康なヒトには副作用が現れる可能性があります。