地方公立から家庭学習だけでハーバード合格


75分週1回のレッスン1年で、英語経験まったくゼロの幼児や小学生が英検5〜2級に合格! そんな英語のオンラインレッスンの様子がTV番組「セブンルール」などで取り上げられ、話題沸騰中の廣津留真理さん。そもそも廣津留さんがこのオリジナルの「ひろつるメソッド」を編み出した背景には、ご自身の子育てがあるといいます。

大学で英語科の教職課程を取り、大分県の高校教員試験にも合格していた廣津留さん。ただ、これまでの日本の教育への疑問から、娘のすみれさんの誕生をきっかけに、オリジナルの家庭学習を0歳からスタート。すみれさんは、この家庭学習のみをベースにして、塾に通うことも海外留学することもなく、大分の公立高校からオンライン受験でハーバード大学に現役合格。さらに首席で卒業後、ジュリアード音楽院の首席卒業を経て、音楽コンサルティング会社を起業、大学講師、バイオリニスト、作曲家など、多彩な活躍をしています。

なぜそんなことが可能だったのか? すみれさんの大学入学を機に起業し、ひろつるメソッドでの指導を行っている廣津留真理さんに語ってもらいます。

 


「子どもは幼稚なもの」と決めつけない


私自身が子どもの頃につねに疑問だったのが、学校では「●年生で覚える漢字」「中学○年生で覚える文法」と、学ぶ内容が学年で区切ってあることでした。本来、言葉を覚える順番は、自由であっていいはず。子どもの好奇心は無限大です。「もっと読みたい」「もっと書きたい」「もっと知りたい」という子どもの気持ちを無視して、大人が決めた枠組みを押し付けるのは、子どもに対して失礼な話だと思うのです。「子どもは幼稚なもの」「これは難しいから子どもにはまだ理解できないはず」という大人からの一方的な決めつけは、自分が親になったら一切捨てようと思っていました。
たとえば、市販の絵本はひらがなだけで書かれています。でも、ひらがなだけの文章というのはどう考えても日本語としては不自然ですよね。そこで私は娘が2歳の頃から、娘に読む絵本のひらがなの上に漢字を書いた紙を貼りつけていました。「これ、なんだろう?」とめくると、下に読みが書いてある仕掛けです。こうすると「さあ! 漢字のドリルやるわよ! まずは簡単な1年生の漢字からね」とわざわざお勉強しなくても、自然に好きな言葉から漢字を覚えることができます。
「子どもには漢字は難しいから」というのは、大人の思い込みかもしれません。子どもは可能性のかたまりです。見たことない形に興味津々になったら、ぐんぐん吸収していきます。「私の子どもの頃にできなかったから、我が子もできないはず」という思い込みはまず捨てましょう。

絵本『スイミー』に漢字を書いた紙を貼った例。「『漢字は難しいから小さい子どもには読めない』というのは大人の勝手な思い込み。面白いと興味を持てば、子どもはどんどん吸収します」と廣津留さん。(『成功する家庭教育 最強の教科書』より)
 


「読み聞かせ」より「読んでもらう」


また絵本というと、子育てにおいては「読み聞かせが大切」とよくいわれますね。親子のコミュニケーションという意味では、確かにそれは間違いないと思います。ただ、私は「読んであげる」のではなく、むしろ「読んでもらう」派でした。もちろん赤ちゃんのうちは読み聞かせをしていましたが、娘が自分で読めるようになってきたら、大人が一方的に読み聞かせているのはもったいないと思い、「読んで聞かせて?」とお願いしていたのです。
「読み聞かせ」だと、子どもにとっては受け身のヒアリングです。反対に子どもが自分で絵本を読むと、文章を目で見て声に出して読み、それを聞いている親だけでなく、自分自身の耳でも聞くことになります。自分で絵本を読んでいるだけで、リーディング、スピーキング、リスニングという3つの技能を駆使することになるのです。それにより語彙力・理解力・表現力は飛躍的に高まるはずです。
「読み聞かせ」と変わらない親子のコミュニケーションにつながるのはもちろん、読んでくれた我が子に「上手に読めたね!」と言葉をかけてあげることができます。もちろん、子どもも最初はたどたどしかったり、つっかえたりしますが、だからといって「違う違う!」とダメ出しせず、「頑張って読んでくれたね!ありがとう!」と100%ほめてあげます。こうすることで、子どもの達成感を積み重ねて、自己肯定感を高めることにもつながり、一石何鳥もの効果になります。


書き取り重視な日本の教育


英語に関しても、まったく同じ考え方です。娘のすみれには、2歳の頃から、CDで音声を聞かせながら英語の絵本のなぞり読みをしてもらっていました。そう、英語の絵本も「読み聞かせ」ではなく、「読んでもらって」いたのです。最初はたどたどしかった音読も、毎回ダメ出しすることなく100%ほめる、の繰り返しで、少しずつ上手になりました。
伝統的な日本の教育は、日本語にしても英語にしても「書き取り」を重視しすぎているように思います。日本の英語学習といえば、abcの書き取りから始めるのが定番です。けれど、まだ握力も筆圧も弱い幼児にとって、書くことは大人が想像する以上に大変な作業。疲れるし、うまくできないことを最初にさせられたら、誰だって苦手意識を持ち、イヤになってしまうでしょう。
さらに、子ども向けの英語レッスンで多いのは、歌を歌ったり、ゲームをしたり。これも、「英語は難しいもの」という大人の勝手な思い込みがあるように思います。

 
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