混み合った電車の中や、エレベーターなどの狭い空間。または歯科医院の診察台や美容院のシャンプー台に座った時などに、突然襲ってくる強い不安感。さらにそこから、動悸が激しくなったり、冷や汗やめまいなどの症状があらわれる場合、それは「パニック発作」かもしれません。

鍼灸師で心理カウンセラーでもある影森佳代子さんは、そんな「パニック発作」を36歳の時に経験。いつも乗っていた電車の中で、ある日突然、猛烈な息苦しさに襲われたといいます。そこから影森さんは、心理療法に東洋医学をかけ合わせ、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、約6年かけて「パニック障害」を克服。

そんな影森さんが辿り着いたパニック障害克服法“影森式メソッド”のノウハウを紹介するのが、『パニック障害 大丈夫! かならずよくなる ひとりでできて不安がスーッと軽くなる画期的メソッド』です。思わず心がほっとする、エールにも似た温かな言葉が詰まった本書から、今回は特別に“影森式メソッド”の一部をご紹介したいと思います。

 


「パニック障害」ってどんな病気?


パニック発作は「パニック障害」という病気の中心的な症状で、パニック障害は不安障害のひとつに分類されるものです。精神医療の世界基準となっている、米国精神医学会刊行の『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版』では、パニック障害の診断基準を次のように定めています。少し難しい表現もありますが、あなたが今、治したいと思っている病気を客観的に理解することはとても大切なので、ご紹介しますね。

 

●パニック障害の診断基準

A)予期しないパニック発作がくり返し起こる

B)少なくとも1回の発作のあと1カ月(またはそれ以上)、次のうちのひとつ(またはそれ以上)が続く
①もっと発作が起こるのではないかという心配、または発作の結果についての心配(抑制力を失ってしまう、どうかなってしまうのでは、という懸念)
②発作に関連して大きな行動の変化(パニック発作を避ける行動)があらわれる

C)この障害は、物質(例:薬物乱用、投薬)、またはほかの身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない

D)この障害は、次のようなほかの精神疾患ではうまく説明できない
社交不安症/限局性恐怖症/強迫症/心的外傷後ストレス障害/分離不安症

病院で「あなたはパニック障害です」と診断されると、「どうして私がそんな病気になったのか……」とショックを受けるかもしれません。でも、調査によると、日本人100人のうち、3、4人が発症しています。パニック障害は特殊な病気ではなく、誰もがなる可能性がある病気といえます。

男女比では、女性は男性の約3倍も発症しており、圧倒的に女性に多い病気です。年齢的には、女性は30〜35歳、男性は25〜30歳が多いといわれていますが、私の鍼灸院には、10代から60代の幅広い年齢層の人がパニック障害に悩んで来院されます。

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パニック障害予備軍チェック&ストレス度チェックで今の状態を知ろう
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「パニック障害予備軍チェック」でひとつでも当てはまった人、「ストレス度チェック」で複数チェックがついた人は、自律神経のバランスが崩れやすくなっています。まずは「休息を取る」「規則正しい生活をし睡眠と食事に気をつける」「気分転換をする」の3つを心がけましょう。