「付属物」である生き方は結果として自分を苦しめる
スポーツチームでも友だちのグループでも、「個人」で判断しないで「集団」の判断にまかせていれば楽でしょう?
家族にも同じことが起こります。
親の「付属物」として扱われることは楽なのです。親が全部決めてくれて、親の言う通りに従って、親がするなということは絶対にしないで、親の期待だけに応えていたら、何の問題もなく人生を送れるでしょう。
ただし、あなたが「個人」として、何かをしたいと思わない限り。
あなたが親とは違うものを好きになり、親とは違うことをしたくなり、親の期待とは違うことが目標になり、親とは違う生き方をしたいと思うようになった時、親の「付属物」である生き方はあなたを苦しめます。そして、あなたは親ではないのですから、いつか間違いなく、親とは違う生き方をしたいと思うようになるのです。
その時に、無意味な「罪悪感」を持たないようにしてほしいから、この本を書きました。
その時に、「私は親を裏切ったひどい子供だ」という間違った思い込みを持たないでほしいから、この本を書きました。
あなたの人生はあなたが決めるのです。親ではありません。
著者プロフィール
鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)さん:作家・演出家。1958 年、愛媛県出身。「朝日のような夕日をつれて」(87)で紀伊國屋演劇賞、「スナフキンの手紙」(95)で岸田國士戯曲賞、「グローブ・ジャングル」(2010)で読売文学賞戯曲・シナリオ賞などを受賞。また、『COOL JAPAN』(NHKBS1)などのテレビ出演、旺盛な執筆活動でも知られる。主な著書に、『「空気」と「世間」』(講談社現代新書)、『「空気」を読んでも従わない』(岩波ジュニア新書)、『鴻上尚史のほがらか人生相談』(朝日新聞出版)、『同調圧力』(講談社現代新書)、『何とかならない時代の幸福論』(朝日新聞出版)などがある。
『親の期待に応えなくていい』
著者:鴻上尚史 小学館 968円(税込)
中学生・高校生がよりたくましく、より幸せに生きるための知恵をつづる新書シリーズ「小学館 YouthBooks」の一冊。人生相談のコラムニストとして厚い支持を得ている著者が、親が子に期待を寄せてしまう理由や、子が親の期待に応えようとする心理を分析し、わかりやすい言葉でその不合理性を訴えます。大人が読んでも目からウロコの事実が満載。「親」という重圧に苛まれているすべての人の心を解放します。
構成/さくま健太
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