ボディポジティブ・ムーブメントが盛んな昨今だけれど、この「自分のボディをポジティブに受け入れる」というメッセージの中には、体型だけでなく、エイジングを受け入れることも含まれています。現在開催中のカンヌ国際映画祭で、エイジングを前向きに受け入れる勇気をもらえるようなセレブたちの姿が目立っていたのも、そのムーブメントの一環に違いありません。
7月6日からスタートしたカンヌのレッドカーペットに現れた女優たちは、今やグレイヘアを隠そうとはせず、堂々としていました。映画「フォー・ウェディング」で有名なアンディ・マクダウェルは現在63歳。カンヌ映画祭初日には、ビーズをあしらったプラダのブルードレスに、カールさせて少し青みを入れたロンググレイヘアで登場。そのボリュームたっぷりのヘアが、ドレスにとてもよく似合ってました。何より、白髪染めしなくてもゴージャスでエレガントだった彼女の姿が、セクシーは若々しさとイコールではないことを証明しています。
アンディが今回レッドカーペットでグレイヘアデビューすることを決意したのは、娘の「すごくかっこいい」という褒め言葉のお陰だとか。自主隔離のステイホーム中、白髪染めをせずに過ごしていたところ、「ママのその髪、超イケてるじゃん」と褒めてくれたのだそう。たしかにアンディのヘアは、ナチュラルで「すごくイケてる」!
もうひとり、グレイヘアをあえてドレスアップに生かしていたのが58歳のジョディ・フォスター。
妻であり写真家のアレクサンドラ・ヘディソンを伴ってレッドカーペット入りした彼女は、フェイスラインの部分だけ白髪をひと筋残したワンレングススタイルを披露しました。ジバンシィのホワイトドレスと相まって、今回、栄誉あるパルムドールを受賞した彼女に相応しい、知性と余裕を感じさせるドレスアップスタイルに。パートナーのアレクサンドラの、グレイヘアをオールバックにしたショートスタイルともバランスが取れていたことからも、ふたりの仲良しぶりが伝わってくるよう。
そしてレッドカーペットにおいてはグレイヘアの先駆者とも言えるヘレン・ミレンは、アップにした真っ白な髪をイエロードレスに合わせていて今回も素敵でした。
今回のカンヌだけでなく、「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編ドラマ「And Just Like That…」でもサラ・ジェシカ・パーカー演じるキャリーがグレイヘアの根元を染めていないことが、インスタグラムに投稿された撮影中の風景画像から判明したばかり。どうやら、ハリウッドの〝グレイヘアポジティブ・ムーブメント〟は急速に広がっている模様。
日本では若いことがもてはやされる〝若さ信仰〟が根強いという声もよく聞くけれど、今後は日本の芸能界でも白髪を染めない女優さんが増えていったりするのでしょうか。それとも、欧米人とは顔立ちが異なるから、白髪がかっこよくキマるのはなかなか難しくてあまり定着はしないのかしら。
どちらにしても、カンヌのグレイヘア女優たちのように「今のありのままの自分」を受け入れる勇気を、私も含め、もっと多くの人々が持てるようになればいいなと思います。「別の自分」になろうとすることは美の原動力でもあるけれど、あまりにもそれに執着するのはしんどいもの。誰のために綺麗になろうとするのか。それをいつだって、忘れないようにしていたいですね。
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