認知症はときに、「認知症=アルツハイマー病」のように捉えられてしまうことがありますが、それは大きな誤解です。アルツハイマー病は確かに認知症の最多の原因疾患ではありますが、その他にも認知症には数多くの原因疾患があります。
甲状腺機能低下症もその一つです。そして何より大切なのは、この患者さんのように、認知症の中にも「治療のできる認知症がある」ということです。
認知症の原因を見極めることが大切
アルツハイマー病は、残念ながら誤診も多い病気です。なぜならアルツハイマー病を容易に診断してくれるような単一の検査が存在しないからです。一方で、頻度が最も高いという揺るぎのない事実もあります。そんな背景から、高齢な患者さんの認知症を見たときに、すぐさまアルツハイマー病という病名が連想されて誤診されてしまいがちです。それはさながら、喉の痛みが出たときに「風邪かな」と思ってしまうのと同様です。
一口に認知症と言っても、実際にはさまざまな原因があり、それぞれで治療法が異なります。このため、すぐに原因を決めつけずに丁寧に原因が何かを考えるという姿勢がとても大切なのです。
このグラフからもわかるように、認知症の患者さんの数は年々増加の一途を辿っています。ここには、高齢者自体の増加、そして慢性疾患を抱える人の数の増加などが寄与していると考えられています。
増加する認知症患者さんの中で、原因をしっかりと見極め、適切な治療や予防に繋げていくことが大切であるということが、この患者さんのストーリーを通してお分かりいただけたのではないかと思います。
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写真/shutterstock
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