健康でも加齢で脳の神経細胞は失われていく
加齢は、他の臓器と同様、脳にも確実に変化をもたらします。例えば、脳の容積を見てみると、65歳以降、前頭葉や側頭葉と呼ばれる領域を中心に、1年あたり約7㎤ずつその容積を減らしていくことが知られています(参考文献1)。
脳にある神経の細胞は、炎症が起こったり血流が途絶えたりといった病的な理由がなくても、時間が来るとプログラムされた細胞死を迎えていくことが知られているのです(参考文献2)。
そして、神経細胞が死んでいくことに加えて、残存して生き残った細胞の容積自体も萎縮していくことが知られていて、脳の容積の減少にはむしろそちらの影響が大きいこともわかっています(参考文献3)。
また、脳の中には、アルツハイマー病の原因と言われる脳内タンパク質「アミロイドβ」の沈着が見られるようになります。このような変化は、アルツハイマー病の患者と比較すれば平均的に少ないものの、加齢だけでも起こりうるのです。
85歳以上の過半数で、アルツハイマー病と診断しうるレベルのアミロイドβの沈着が見られるとした報告もあり、これがアルツハイマー病の診断を難しくしています(参考文献4)。
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