認知症をみたらまず原因を探れ


条件のうち、「日常生活を自立して送ることが難しくなった」というところはポイントの一つです。

「最近、主人の物忘れが多くて、認知症だと思う」

そんなセリフを耳にしたことがあるかもしれませんが、そのご主人が問題なく仕事を続けられていれば、それは認知症ではなく、年齢相応の「物忘れ」でしょう。自立して日常生活を送ることに支障が出るほどの障害がないからです。

逆に、以前ご紹介した70代の女性はどうだったでしょうか。もともとは問題なく一人暮らしをされていたそうですが、最近はランドリーに洗濯物を入れっぱなしにしてしまったり、水道の蛇口を閉め忘れたりということが繰り返しあり、買い物などには近所の友人の助けを借り、家事にはお手伝いさんを雇うようになったそうです。

 

この方の場合は、日常生活に明らかに支障が出ています。うつ病やせん妄などの可能性が除外できれば、認知症と診断できそうだといえます。

 


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もう一つ大切なところは、認知症は、認知の機能が障害されてしまったという「結果」だということです。そこには、その結果を導いた「原因」があるはずであり、認知症をみたら原因を探ることが大切です。
 


前回記事「脳は65歳を過ぎると毎年約7㎤も減少!生活にはどんな影響がある?」はこちら>>


参考文献
1 SA G, D A, KR D. Dementia. Am J Med 2018; 131: 1161–9.

構成/中川明紀
写真/shutterstock

 
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