結婚はしたいけど、誰でもいいわけではない

 

「彼から『君のことは好きだけど、僕には結婚願望はない。これからも一緒にいたいけれど結婚するつもりはないんだ』とキッパリ言われました。今思えば、付き合う時点で結婚の意思を確認しておくべきでした。だけど最初からプレッシャーを与えない方がいいと思って、口にできなかったんです……」

ところが亜里沙さんは、この時点で健太さんとの別れを選びませんでした。「結婚はしたいけれど、するなら好きな人としたい。だから彼がいい」という思いを捨て切れなかったのです。

この気持ちに共感できる方は多いのではないでしょうか。「できるだけ早く結婚したい」という強い願いがあるにも関わらず、「かといって誰でもいいわけではない」という本音との葛藤。これが婚活の最も辛いところだと思います。

「彼が私を好きな気持ちに、偽りはないようでした。だから、付き合っていくうちに結婚に対する考えが変わるかもしれないと期待して、その可能性にかけてみることにしたんです。友達には『結婚したいなら、今すぐ彼とは別れるべきだ』って猛反対されましたけどね」

その後、亜里沙さんは健太さんと3年間交際しました。しかし結局彼の考えが変わることはなく、何度話し合っても堂々巡り。ついに亜里沙さんは、別れを選ぶことになったのです。

 

婚活に励むほど、失われる自信


「38歳で再び婚活を始めましたが、絶望的な気分でしたね。3年の間に、以前は独身だった友達の多くが結婚してしまったので、一緒に出会いの場所に行けるような仲間が激減してしまったんです。コロナ禍で出会いの機会もなかなかないですし、友達から勧められてマッチングアプリをすることにしました」

それまではマッチングアプリに対して抵抗があったという亜里沙さん。全く乗り気ではなかったそうですが、「待ってるだけじゃ出会いなんて来ないよ」と友人から説得され、アプリに登録しました。

しかしマッチングアプリの婚活は、亜里沙さんにとっては苦痛でしかなかったそう。せっかくマッチングしても、会ってみたら年齢を詐称している男性だったり、セクハラしてくる男性だったり、ドタキャンされてしまったり。そんな出来事の連続でした。

「そのマッチングアプリは、特に女性ユーザーの年齢層が20代中心だったのもあって、変な出会いしかないのは自分の年齢のせいなのかな……? と悲観的になってしまいました」

婚活によってどんどん自分への自信を失っていった亜里沙さん。そんな彼女にアドバイスをしてくれたのは、マッチングアプリを使いこなしている友人でした。

「まずはプロフィール文や写真をダメ出しされました。私はできるだけ素の自分を知ってほしいと思ったので、加工などもやりすぎずPR文も飾りすぎない内容にしていました。ところが友人からは『もっと自分を魅力的に見せる工夫をしないと、素敵な男性は引き寄せられないよ』と厳しいアドバイスをもらいました」

そのときに亜里沙さんは、ハッとしたそうです。10年以上婚活をしながら、ずっと抱いていたモヤモヤした感情。その正体が何なのかわかったのです。