「さよなら私のクラマー」の中では、なかなかロングフィード(長いパスの供給)を蹴ることができない選手に対して監督がこんな言葉をかけます。

「何億回もボール蹴ってんだろ」
「テメーの足を信じて蹴れ」

一方で言葉をかけられたほうの選手は
「イマイチ自分の足は信じられないけど でも 自分のチームメイトなら 信じられるーー」
と、心のなかでつぶやきます。

 

ここに私たちが日々自信を持って仕事に向き合うためのヒントがあると思うのです。

「自分のことがなかなか信じられない」
「自分にはそんな能力や強みは何もない気がする」……

でも、本当にそうでしょうか? たしかに漠然とは自分のことは信じられないかもしれない。しかし、自分自身が実践してきたこと、成し遂げてきたことを客観的に振り返って正しく認識することが大事なのではないでしょうか?

 

大きなことでなくてもいいのです。ちょっとしたこと……そう、たとえば「ボールを蹴る」といったことでも。仕事でいえば、お客様との日々のやりとりやそれらを通じて少しずつ重ねてきた信頼関係。それらは私たちの中にしっかり生きていて、私たちを日々支えてくれています。忙しい毎日を送っているとついつい、「積み重ねてきた小さなこと」を忘れがちですが、ふと立ち止まり振り返って、改めて認識してみてはいかがでしょうか。

自分自身のことはなかなか信じることが難しくても、自分を支えてくれる、自分を評価してくれる周囲や仲間の存在に目を向けてみるのも大切なことです。自信というのはある日、突然生まれるものではなくて、日々の小さな積み重ねのうえに少しずつ生まれて育っていくものなのではないかと感じます。

この作品でも監督・コーチと選手との関係性が非常に印象的なのですが、仕事においても一人ひとりのメンバーが自分らしく力を発揮できる環境を整えるのはマネジメントの役割でもあります。

現場で管理職としてチームを引っ張る女性たちにとっては、自分自身がそういった役割を果たせているかどうか? 振り返るきっかけになる、そんな作品でもあります。

「自分の弱さが出た」
「自分に勝つ」

オリンピックで活躍するアスリートがよく口にする言葉です。
彼・彼女たちはきっと誰よりも自分と戦ってきた人たちで、その周囲にはそんな彼・彼女たちを支えてきた人たちがいる。

でもこれってアスリートだけの話ではないですよね。私たち自身だって日頃から自分自身と戦っています。そのときにやはり心の支えになるのは自信であり、支えてくれる周囲や仲間の存在です。

そんなことを感じながら、熱戦続くオリンピックを見守っていきたいと思います。

前回記事「50歳からはじめる女性の働き方改革。キャリアメイクのプロが教える3つのポイント」はこちら>>

 
  • 1
  • 2