自分の体を休めるため、自分の体を酷使する戦法とは
新たに充てがわれた部屋はシャワー、トイレ付きの個室でした。部屋には鍵もついているため、これで全裸でウロウロしても大丈夫、次男を自力でお風呂に入れられそうです。次男のお風呂の心配ばかりしている母ちゃんです。
すぐに小児科の看護師さんが説明にやって来てくれました。感染症病棟とは過ごし方が少し変わるようです。まず医師の診察は対面ではなく毎朝電話で行うとのこと。看護師さんの入室も必要最低限に抑えるため検温などは自分で行い、規定の用紙に自分でメモを取っていくことになりました。また部屋の真向かいがナースステーションですが、部屋からは一歩も出てはいけないため何かあれば必ずナースコールで会話してほしいとのこと。隔離感が一層高まります。
一通り話を聞き終わったところでブルっと寒気を感じました。エアコンが効きすぎているように思い、温度を上げてほしいと伝えたところ「餡蜜さん、もしかしたらお熱が上がってくるかもしれませんね。解熱剤を医師にオーダーしますので熱が上がってきたら飲んでください」と言われました。
ナースの予言通り、寒気は一向に引かず熱が上がってきているようでした。少し横になって眠りたい。次男を高柵ベッドに置き、さて寝ようとした瞬間「ンマーマー!!! マーマー!!!」と大泣きで抗議され、やむなく自分の布団に入れてやります。
しかしずり這いマスターの次男は狭いベッドをあっちにずりずり、こっちにずりずり。ナースコールを押そうとしたり、隙間から転落しそうになったりと、一瞬も気を抜けません。ヒィー……!!!
とにかく次男の動きを鎮めなくては……例のボロボロパジャマの胸元をガバッと開きおっぱいを口に入れます。数分ではありますが動きを抑制でき、私も休める。以降、ひたすらにおっぱいによる口封じ戦法を繰り返し、なんとか1秒でも長く自分の体を休めるよう努めました。
体温は38度を少し超えていました。コロナの症状は人それぞれのようですが、私に関して言うと寒気がして軽く発熱するという程度で普通の風邪よりも随分ラクでした。この時点では鼻水や咳などの症状もありませんでした。
おっぱい戦法の甲斐あって次男も午睡に入ったので私も少し眠ることが出来ました。そして日も暮れた頃、夫からの「保健所から全員陰性って電話が来たよ」という涙ちょちょぎれるLINEで目を覚ましたのです。
嗚呼、本当に良かった。双子が家にいられて良かった。赤ちゃんマンの世話が大変だけどしっかり養生して元気に退院しよう! と活力が湧いてきます。そう、この時が一連の我が家のコロナ事変において唯一明るい瞬間だったのです。
(次回につづく)
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