もっと成長するために、戦うフィールドを変えた

そのための挑戦のひとつが、戦うフィールドを変えることでした。同年代の俳優だけでなく、もっと上の世代の先輩たちと芝居をして経験値を積み上げたい。その想いから、何度となくオーディションにトライし、新しい道を切り開いていきました。

残念ながら全公演中止となってしまったブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー Season3』や今年7月に千秋楽を迎えたミュージカル『17 AGAIN』も、有澤さんの飽くなき向上心がたぐり寄せたチャンスのひとつです。

「新しい場所に飛び込むときは緊張します。みんな、僕の名前を見ても『誰?』ってなるじゃないですか。実際、そういう視線も感じましたし」

 

けれど、アウェーだから得られるものもたくさんありました。

「『17 AGAIN』の歌稽古とか最初はガッチガチでした(笑)。みなさんのスキルが高いんですよ。稽古場に入った瞬間、美声が聞こえてくる(笑)。歌合わせのときも先生から口頭でパートを伝えられて。でも、僕は『どこ? どの音?』ってパニック状態。そしたらアンサンブルの方が『僕と同じパートなんで、あとで一緒にやりましょう』と声をかけてくれて。本当に周りの人に助けられた現場でした」

 

ミュージカルの前線で活躍する先輩たちの高いプロ意識にも刺激を受けました。

「みなさん、ベストのコンディションをキープするために、ものすごくきちんとケアをされているんです。楽屋からして全然違いましたからね。今まで見たことのないようなアイテムがいっぱい並んでいて。喉から関節から、とにかくいたるところをケアするためのグッズが常備されているんです。第一線でやってらっしゃる方はみなさん本当にストイック。自分との違いを実感しました」

そして何よりの収穫は、未知の現場に飛び込むことで、未知を恐れなくなったことでした。

「やるまではやっぱり不安がどこかにあったんですよ。でも、自分の目で現場を知れたことで怖くなくなった。ここでちゃんと戦っていけるという自信がつきました」