東京オリンピックの開催が迫る2021年7月にコロナ罹患し入院治療を受けた、4歳の男女の双子と10カ月の乳飲み児3人の母で育休中の餡蜜桃子さん。その後夫も罹患し、餡蜜さんとは別の病院に入院します。一足先に退院した餡蜜さんは子ども達と隔離生活に入りますが、今度は子ども達が全員陽性に……。餡蜜さんの1カ月にわたるコロナとの戦いの記録、いよいよ最終回です!

※本記事は2021年7月時点のケースです。行政の指針や対応が現在と異なる部分があります

餡蜜桃子さんのInstagramより。素敵写真と3児の育児についての生活感溢れるコメントとのギャップが魅力

 


せめて家族揃ってテレビで五輪開会式を観たかった


そうこうしているうちに夫の退院が明後日に決まりました。もちろん熱をぶり返したりしなければ、という条件付きですが。保健所の方にも、もし今お願いしている条件での調整が難しければ夫の退院後に親子で入れる病院を探してほしいとお願いしました。

その翌日も幸い子ども達は元気で、夫も安定しているようでした。「いよいよ明日、パパが帰ってくるね!」と嬉しそうな子ども達。でもパパが帰ってきたら今度は私たちが出ていかなくてはなりません。

東京五輪が決まった時、結婚はしていたけれど子どもはまだいなくて、がむしゃらに仕事をしていました。クライアントがとにかく怖くて命まで取られそうな日々でした。でも例の「TOKYO!」という開催地決定の発表を見た時、すごく未来が明るく感じて、絶対に子どもを産んでみんなで観に行きたいなぁと思いました。

それから7年後、まさかこんなことになっているとは世界中の人が想像していなかったでしょう。そして私とて、すっかり子沢山にはなったものの、まさか一族郎党でコロナに罹るとは1ミリも思ってもみませんでした。

せめて家族揃ってテレビで開会式を観たかったな……長い戦いの疲れが出始め、また明日からしばらく家を出なくてはいけないということが辛くて泣きそうになりました。

でもそんなことは言っていられない。次男が急変するようなことがあっては大変だし、陽性者が隔離されることがルールである以上、それには従わなくてはならない。とにかく明日もみんなが元気ならばそれ以上のことは望まないようにしようと思い直しました。

そして翌日、ついに夫が家に帰ってきました。でも……あれ!? なんか想像と違う。もっと「ただいまー! みんな会いたかったよー!」みたいな帰宅を想像していましたが、げっそりと痩せ、顔色も悪く、小さな声で挨拶したかと思うとすぐに寝室で横になってしまいました。

元気がなさすぎる……全然回復していないように見受けられました。そうこうしていると保健所の方から「入院先が決まりました、すぐに支度をしてください」との電話が入りました。