結婚を機に婦人科を受診し
初めて意識した身体のこと


伊藤:引退後、生理は順調でしたか?

大山:それが、毎月決まった周期で来ていたのですっかり問題はないと思い込んでいたのですが、結婚し、妊娠のことを考えて初めて訪れた婦人科で、予想外の診断をされてしまったんです。

伊藤:婦人科は、その時が初めての受診ですか?

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大山:はい、31歳でしたが、それまで一度も受診したことがありませんでした。とにかく生理が定期的に来ていたから必要性を感じなくて。

ですが、婦人科の先生に「周期的に来てはいるけど、排卵していないかもね」と言われて、びっくり。
生理があれば、当然排卵しているものだと思っていました。

子どもが欲しいと思った時、腰の怪我のこともあるし、普段から35度、34度とかなり低体温だったこともあり、念のためチェックしに行った感覚でしたが、まさか排卵していない可能性があったとは……。

その時に初めて、現役時代ももっと身体を大切にしておけばよかったと後悔しました。10代の頃から、きちんと婦人科のかかりつけ医を見つけて受診しておけばよかったと痛感したんです。

 

伊藤:10代で「婦人科に行ってみよう」とは、なかなかならないですよね。
私の場合は、たまたま日本代表の競泳チームに婦人科の先生がいらしたから、ピルの相談もできたけど、そういうきっかけでも無ければ、婦人科に行くこと自体、思いつかなかったと思う。

そもそも、産婦人科は妊娠した人が行く所という認識だったので、自分もそう思われそうで嫌だなというのもありました。
今の10代の子たちもきっとそんなハードルの高さを感じているでしょうね。でも、だからこそ、本人たちだけでなく周囲の大人たちも、産婦人科の役割をきちんと知っておくことが大事ですよね。

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大山:私の場合は、そこから婦人科で治療を始め、まずは排卵日を調べるタイミング法からスタート。
すんなりとは妊娠できず、その後、人工授精、体外受精とステップアップしていったのですが、2回目でようやく妊娠することができました。

不妊治療を始めてから4〜5年が経っていました。その間は、心も身体も消耗し、経済的にも大きな負担が。本当につらい数年間を過ごしてあらためて感じたのは、若い頃、目先の勝利だけでなく、引退後も続く長い人生に目を向けていればよかったという反省でした。