臨時国会が招集され、岸田文雄新内閣が誕生しました。岸田氏はキャラが濃い政治家ではなく、人物像についてはよく知らないという人も多いかもしれません。岸田氏というのはどのような考えを持つ政治家で、岸田政権が誕生したことで私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
岸田氏は安倍政権で外務大臣などの主要閣僚を務め、その後は自民党の三役のひとつである政調会長などを歴任してきました。2020年に行われた自民党の総裁選では菅義偉前首相に敗れたものの、次の首相候補として常に名前があがる人物の1人だったといってよいでしょう。
一方で、経験してきた役職の割には、あまり強い印象がないのも事実です。岸田氏のイメージが地味なのは、基本的に温和で人の話をよく聞くという同氏の人柄と大いに関係がありそうです。
政治家というのはある意味で欲望のかたまりのような人たちですから、自分の実績や存在感をことさらに強調したり、国民に対して威圧的に振る舞う人も少なくありません。その点において岸田氏は正反対の人物であり、岸田氏の人格について批判する声は永田町ではほとんど聞かれません。
岸田氏が提唱する経済政策も、本人の人柄とほぼ一致しており、温和で公平な資本主義を目指すというのが基本路線となっています。
今回の総裁選において岸田氏は、「持てる者と持たざる者との間で分断を生んでいる」として、所得の再分配を実現すると主張してきました。「人の話を聞くことが特技」であるとも述べていますから、基本的に対話と再分配に力点を置いた経済運営を目指すものと理解されています。具体的には、介護士や看護師の年収アップなどを実現するため、公的な賃金を見直す新組織の構築を検討しているようです。
日本では高いスキルが必要で、かつ重労働であるにもかかわらず、賃金が安い仕事がたくさんありますから、賃金の見直しについて取り組むことは正しい方向性ですし、意味のあることだと思います。しかしながら、所得の再分配を実施するためには、どこか別のところからお金を取って、足りないところに回さなければなりません。当然、それによって損する人が出てきますから、政権はこうした利害関係を調整し、場合によっては多少の反対があっても、それを押し切るという強さも必要となってきます。
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