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眞子さま結婚後の警備、里帰り...一般人になった女性皇族の場合は?

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宮家存続のために養子を迎えるか


眞子さまのご結婚によって、皇室の人数がさらに少なくなることが懸念されています。皇族は神に祈りを捧げる宮中祭祀はもちろん、国内の行事や災害時のお見舞いなどを通して国民を励まし、海外の王族や要人との交流を通して国家間の友好・親善に尽くすといった大事な働きをしています。
皇族が一人海外の国に訪問すると、日本の好感度がグッと上がるといわれているのです。

「今、眞子さまがご結婚し、やがて佳子さま、愛子さまや三笠宮家、高円宮家の女王殿下方が結婚とともに皇室を去ると、皇族が極端に少なくなってしまいます。
また、次世代以降の皇位継承者が秋篠宮さまと悠仁(ひさひと)さまだけで、その後の世代の継承をどうするのかといった問題があります。今、元慶應義塾長の清家篤さんが座長をつとめる有識者会議が報告をまとめているところです」

写真/宮内庁提供

皇室は四宮家があります。宮家は、男性皇族が結婚するなど、独立の生計を営むようになると設けられます。現在の皇室典範では男性皇族しか宮家をつくれないのです。
ところが、常陸宮家には子どもがなく、三笠宮家と高円宮家には女性のみで男子がいなく、秋篠宮家には男子は皇位継承者である悠仁さまおひとりしかいません。

「皇族数をある程度確保するために、さまざまな案がこれまで出ています。現在ある宮家に養子を迎え入れるという案もありますが、はたして養子に来る人がいるのかといった問題があります」

 

女性皇族の宮家創設案も


女性皇族が宮家を創設するという案も提示されたことがあります。

「女性皇族のどこまでの範囲で宮家をつくれる人にするか。また、眞子さまは一般人で、妹の佳子さまは皇族で宮家を創設したとしたら、姉妹間で身分の格差が出てしまいます。
仮に皇室離脱した眞子さまが宮家を創設するとしたら、配偶者の小室さんと生まれる子どもはどうするか、といった問題もあります。このように検討、熟慮する課題は多いです」

旧皇族を復帰させる案も


新しい宮家を増やすために、かつて皇籍離脱した旧皇族の子孫を復帰させることも提案されています。
終戦後の1947年、昭和天皇の3人の弟が創設された3宮家を除いた皇族の11宮家51名が皇籍離脱しました。その子や孫を復帰させるというものです。

「国民は、皇室の方々が生まれたときから、親しみを持ってずっと成長する姿を見ています。そこにある日突然、『私が皇族です』と現れたときの国民の受け止め方にも配慮する必要がありそうです。

皇室の『これから』は、国民全体の問題です。国会で開かれた議論を通じて国民に知らせると同時に、私たち一人ひとりも将来の理想的な『日本という国のかたち』を想像しながら考えていきたいものです」


大久保和夫(おおくぼ・かずお)
毎日新聞客員編集委員。宮内庁を中心に、皇室警察をはじめとする皇室関連の取材を続けている。皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、70歳を過ぎても現役で活動している。

●聞き手
高木香織(たかぎ・かおり)

出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に、『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』( ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『愛のダイアナ』、『美智子さま あの日あのとき』、 カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へ―』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、 『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

本文、キャプションは過去の資料をあたり、
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その当時のものを使用しています。
取材・文/高木香織
構成/片岡千晶(編集部)


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