みなさま、こんにちは!
〔ミモレ編集室〕2期生のKaoriです。
私は農家さん相手の仕事をしているので、野菜をいただくこともしばしば。
商品として売れないものをいただくことが多いです。
たぶんスーパーだと売ってないですよね。
ズッキーニとトマト。
成長する過程で実に穴が開いたり、気候の影響で割れがあったりします。
こういう野菜を見ると、普段は忘れている記憶がふわっとよみがえります。
私の実家は家族経営の施設栽培農家です。
ハウスでキュウリ・トマトを栽培し、出荷しています。
私が幼かったころ、夕食を済ませた両親がまた農作業場まで戻ることがよくありました。
「また仕事行っちゃった、つまんないな。」
そんな風に思って、弟と両親が戻ってくるまでの時間を潰していました。
もう少し大きくなって
「選別してくるね。」と言われるようになりました。
そしてその頃には、きちんと意味も理解していました。
収穫したキュウリを大きさ別に分け、さらに曲がり具合などを見て規格A~D(優→劣)で分ける作業のことです。
値段も連動しています(高→低)。
こうして選別されたキュウリは、「生産者番号」「氏名」の印字された箱に詰められ父のトラックでJAの出荷場まで運ばれます。
そこから市場に流通し、最終的に消費者のもとへ渡ります。
これが記憶の中のキュウリの旅(流通)でした。
それが5年前にJAの選果場ができて出荷までの工程が変わったのです。
母から「もう家で選別しなくて良いから楽になったんだよ~」と聞いた時は驚きました。
老いた両親の体力的負担も軽減され、より鮮度の高いうちに出荷できるようになるとは!
この話題をいつか〔ミモレ編集室〕で話してみたいな、と思ったきっかけがありました。
ミモレ本誌で「SDGs」をテーマにした記事を読んだことです。
記事では規格外の野菜に価値を見出し、販売する竹下さんの活動が取り上げられていました。
捨てられてしまう野菜を販売するのは素晴らしいこと!
その時は素直に喜べたのに、あとになって戸惑う気持ちがわいてきました。
何でだろう。
それはたぶん
私が「形が違っても味は同じだよ」と大きな声で言えなかったから。
農家の娘がそれを言ったら
自分の親がやってきたことを否定するようで嫌だったんです。
だから滅びの言葉みたいに怖くて口にできませんでした。
これが心の奥の方につっかえていた気持ちでした。
その気持ちを持て余していた頃、〔ミモレ編集室〕で偶然見かけたお話がありました。
地元の即売所で傷ありトマトを買う人。
黄色くなって安売りされていたキュウリを買う人。
ご自身で選んだ野菜を調理される様子を知りこう思いました。
色んな販売方法が受け入れられて、自分の価値観で選べる時代になったんだ。
親の販売方法はその中の1つに過ぎない……。
だとしたら否定することにはならないんじゃない?
この気づきで「外に出すまい」としまい込んでいた気持ちを手放すことができました。
美味しい野菜を見た目だけで決めない人がもっと増えたらいいな。
それが形にできる仕事ができたらいいな。
これが、今の私の気持ちです。
■農業実践学校 秋冬野菜コース 秋に突入
7月から農業の基礎が学べる実践学校に通っています。
すっかり秋になり、扱う品種も秋冬野菜になってきました。
今日は夏の終わりから秋の始まりへのバトンが渡る作業日記です。
<オクラ>
そろそろ収穫も終わりを迎えようとしています。
それでも成長は衰え知らずです。
<ニンジン>
この日は間引き作業をしました。
間引きは、1か所から数本生えた苗を1本だけ残しそれ以外を引き抜く作業です。
「間引きしたニンジンは持って帰って良いよ~」と言われたので
カゴにどっさり入れました(うふふ)。
その日の夕食は、ニンジンの葉っぱの天ぷらを揚げました。
<カブ>
秋冬野菜は土に触る機会がぐっと増えます。
ダイコン、ニンジン、カブ、サトイモなどは土の中。
ブロッコリー、ハクサイ、ネギなどは地上すれすれ。
標高300mの圃場で秋空の爽やかさを感じながら、冬を見据えて作業をしています。
※キュウリの規格は家族が出荷しているJAの基準です。
※野菜の撮影は8月末~10月初めごろの様子です。
Kaoriさん
地方在住
農家さん相手の仕事をしながら、自分も農業をやりたくて
農業の実践学校に通い始めました。
夫、3人の娘、犬とのドタバタな毎日。
編集室で自分時間を満喫するのが楽しみです。