次々とハッピーな騒動を巻き起こすAIの転校生シオンと、彼女に振り回される不器用な高校生たちを描く『アイの歌声を聴かせて』。小さい頃からアニメの大ファンという俳優の工藤阿須加さんが演じるのは、ヒロインのサトミに思いを寄せる幼馴染みのトウマ役。念願だったアニメ声優に初挑戦し、キャリアは順風満帆ですが、30代を迎えた今年はそれとは別の新たな夢も着々と形になっているようです。そんな工藤さんが、作品の観客である10代、そしてその親世代に伝えたいこととは? 

 


マンガもアニメも大好き。声優の仕事はずっとやってみたかった


実は「台本を読んで泣いてしまった」という工藤さん。

 

「AIは僕らの生活をより良いものにするために生み出されたものですが、シオンはそういう“機械”としての存在をちょっと越えていて、人間と本当に通じ合う瞬間があるんですよね。そこに感動しました」

自身は幼い頃からアニメやマンガの大ファンで、いつか声の仕事ができたらと思っていたのだとか。声優の体験はすべてが初めてで、新鮮な面白さにあふれていたようです。

「アニメではセリフを言うタイミングも長さも決められているし、感情の全てを声で表現しなければいけないので、セリフのどこをたたせるか、抑揚をどうつけていくか、そういう部分は難しかったですね。トウマは一見おどおどした感じがあるキャラクターで、マイクに息をまっすぐ当てると“意志の強さ”がでてしまう気がして。声を少し拡散させたり、少し抜きながら話したり、ビブラートのように声を震わせてみたり、そのあたりを意識しながら演じました。監督にも『すごくよくできてる』と言っていただいて、そこは嬉しかったですね!」

 

自分がやってみて改めて感じたのは、声優さんの声の演技の力強さ。そして声優という仕事にたいする自身の意欲も強くなったのだとか。

「レコーディングをやったのが一番最初だったので、誰の声も入っていなかったんです。全員の声が入っているものを見たのは完成してから。声優さんたちがいるおかげで、表現の厚みが増している感じがしました。リスペクトはすごく大きくなりましたね。今後もやらせてもらえる機会があったら絶対やりたいです」