「ホルモン補充療法をすると
乳がんの発生率が上がる」
というのは古い情報です
HRT(ホルモン補充療法)は、更年期の症状を改善する効果が高いのですが、日本ではホルモン剤に対する抵抗感が高いせいか、なかなか普及せず、欧米では4割ほどの女性が行っているのに対し、日本では1.7%ほどと、ものすごく少ないのが現状です。
これは、HRTは乳がんの発生率を高めるのでは……と思っている人が今だに多いせいもあるかもしれません。
HRTへの誤解が生まれた背景にあるのが、2001年にアメリカで発表された“HRTを5年以上続けると乳がん発生率が上がる”という研究報告です。
このニュースが当時とてもセンセーショナルに報道されたので、今だにその情報がインプットされたままの人も多いのだと思いますが、この研究は実は、基本的なHRTの使用条件と外れた女性を対象に行われたものだと考えられており、2013年には7つの国際学会のコンセンサスが策定され、乳がんリスクは決して大きくはないとされています。
HRTの乳がん発症リスクは、生活習慣によるリスクの上昇と同等かそれ以下
HRTによる乳がん発症のリスクは、1000人に1人以下程度の増加ということがわかっています。HRTを受けていない場合、1年で1000人中3人に乳がんが発症したのに対し、受けた場合は、1年で1000人中3.8人に乳がんが増えたというデータがあります。
でもこれは、飲酒や喫煙など生活習慣によるリスクの上昇と同等かそれ以下に過ぎず、ほとんど心配しなくていいレベルです。5年未満の施行であれば、優位な上昇は認めないとされています。
また、子宮体がんについては、黄体ホルモンを併用することで、リスクの上昇はしないことがわかっています。
こういったことから、HRTは、何年間までなら投与していいという期限は決まっていなくて、欧米では10年以上続けている人もいるそうです。
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