ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考えます。結婚相談所を通じて42歳で結婚したまどかさんにお話を伺いました。

まどかさん(48歳)、健一さん(48歳)。仕事に打ち込んできて気づけば40歳に。そんなとき、妹たちの勧めで入会した結婚相談所のパーティで出会った健一さんにひとめぼれし、42歳で結婚した共働き夫婦。

結婚相談所で出会ったのになかなか結婚してくれない健一さんと、無事に結婚することになった42歳のまどかさん。

仕事一辺倒で生きて来た三人姉妹の長女の結婚に、ご両親は「これでまどかがY夜中に空き巣に入られたりする心配をしなくてもよくなる」とほっとしていたそう。

 

まどかさん:結婚報告のときにも、特に涙涙、みたいなのはなかったですね。とりあえずまどかが納得する相手と結婚できて、本当によかったね、と喜んではくれましたが、あくまでも現実的なリアクションでした。

結婚式は絶対したくない、という健一さんと、一生に一度のことだからちゃんと挙げたい、というまどかさんで意見が対立しましたが、結局まどかさんの故郷である大阪で親族のみの食事会を開き、新婚旅行のハワイでウエディングフォトを撮ることに落ち着きました。この辺りも、晩婚ならではの落ち着いたウエディングプランなのかもしれませんね。

さかい:アラフォー以上で結婚すると周りがザワついたりするものですが、まどかさんは社内の人たちにはどうやって報告したんですか?

まどかさん:やっぱりわざわざ報告するのは照れ臭かったので、いちいち報告しなかったんですよね。そうしたら、「いつの間にか結婚してた!」とそのあと1年くらいは言われました。40すぎて結婚って、社内ではあまり居ないので、ザワっとされたのは事実です。

現在は結婚して6年目。長女のまどかさんと、姉たちが居る末っ子長男の健一さん。まどかさんから見ると「甘え上手で調子がいいな」と思うときもあるけれど、長男なので頼りになるところもあり、結婚して誰かに甘えられるようになったのは、まどかさんにとって結婚してよかったことのひとつ。

共働きのため、財布は別々にしてお金は生活費以外は好きなようにそれぞれが使うというシステム。寝室も別々だと言います。

まどかさん:最初は一緒に寝ていたんですが、彼のいびきがうるさくて眠れなかったので別々にすることにしました。自由すぎて、結婚してライフスタイルもあまり変化はないんです。だけど夜ご飯だけは一緒に食べるようにしています。

 

結婚後昇進して仕事がますます忙しくなってしまったまどかさんはご飯を作る時間もなく、仕事終わりにはリモートワーク中の夫が駅まで迎えに来てくれて、毎日松屋かオリジン弁当と千代田寿司のローテーションで夕飯をテイクアウトする、という日々が続いています。

まどかさん:本当は私に料理や家事をもっとして欲しいと思っているんだろうなとは感じているのですが、健一さんは何かを押し付けるようなタイプではないし、もしそういう人だったら私も結婚はしていなかったと思います。結婚相手は何よりもまず、「仕事を好きにやらせてくれる人」というのは、私も頭にありましたから。あとは、それができているのは、私たち夫婦に子供がいないということもあると思います。

42歳で初婚だったまどかさんは不妊治療を受けていた時期もあり、子供は欲しいと思っています。養子縁組でもいいから子供を育てたい、という彼女に対し、健一さんは「自分の血を分けた子供じゃないと嫌だ」という意見。そのため、まどかさんは今では年齢的に子供を持つことはあきらめ、猫を飼いたいという考えにシフトしたとか。

まどかさん:この年齢までひとりで居たので、結婚して一緒にいてくれる人がいるというだけでありがたいなと感じるんですよね。だからそういう意見のすれ違いでぶつかっても、大抵のことは譲れます。それは晩婚ならではのメリットかもしれませんね。結婚したからと言って相手がいつまでも居てくれるものだとも思って居ないので、大事にしなくてはいけないという意識は常にある。そう思って居ることで接し方が変わって、ケンカにならない、というところはあると思います。

もうひとつ、結婚してよかったことは、精神的に安定したこと。感情の起伏が激しく、落ち込みやすいまどかさんは、楽観的な健一さんと一緒に居ることでだいぶ気持ちが楽になったそう。

まどかさん:仕事で落ち込むことがあっても、自分とは違うサイクルで家が回っていることで、気がまぎれるというか。それに救われることは多いですね。

アラフォーで婚活を始めて、きつかったけれど、その経験があったからこそ、「いい意味であきらめがついて結婚することができた」と、まどかさんは言います。そうでなければ、実際存在もしないような「理想の男性」「自分に都合のいい男性」を探し求め続けていたのかも。

そして婚活疲れで落ち込んだときには、何でもLINEで報告できる妹たちの存在が大きかったとも。

 

まどかさん:婚活って結構辛いことも多いので、そんなときに支えてくれる相手が居るかどうかは大事だと思います。婚活に没入しすぎず、程よく気晴らしするのは必要ですよね。

最後に、まどかさんが晩婚を叶えた3つの理由を分析してくれました。

・絶対に結婚しようという覚悟があった→「したい」ではなく、「絶対にする!」と決めていたそう。

・身近に本音で叱咤激励してくれる存在が居た→「妹たちの存在はすごく大きかったです」

・とにかく数をこなした→20人くらいとお見合いする中で、「かっこよくてすごい人と結婚できるかもしれない」という幻想に、いい意味で折り合いをつけていけたそう。もっと現実的に、自分に合う相手がわかり、自分にとって必要な条件とそうでないものを見つめ直すことが可能に。それがあったから、健一さんと会ったときにすぐに「この人だ!」と気づくことができたのですね。

40代からの結婚相談所での婚活は苦戦する、と聞きますが、まどかさんのように地に足つけた活動をすることで、自分に合った心地いい生活を送れる伴侶をみつけることは可能なのですね。それには20代、30代のときとは違った、今の自分の年齢のステージにあった結婚観を見直すことが、そのヒントになるのだと感じました。
 

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 


前回記事「婚活で出会ったのに結婚してくれない彼に、結婚を決意させたきっかけとは」はこちら>>