キャリアとは、その人が生きる上で経験してきたすべてのこと。そして、これからどう生きるかを仕事を軸に考えることーー。かつて「日経ウーマン」編集記者として、また現在は人材エージェント会社Waris共同代表として、これまで数え切れないほどたくさんの女性の生き方に触れてきた田中美和さんによる、キャリアに悩む人のためのキャリアの話。今回はその後編をお届けします。

コラム前編では、キャリアという言葉は一部の選ばれた人のものではない、ということをお伝えしましたが、実際、社会が急速に変わり「60歳で定年退職」「その後は年金と貯蓄で悠々自適に」なんて話はまったく現実的でなくなってしまった今、誰もがこの先の生き方・働き方を考えなくてはいけません。

自分らしいキャリアのために私たちが今、できることは? これまで数え切れないほど多くの女性たちの生き方・働き方に触れてきた田中さんが、前向きにキャリアを切り開いていくためのコツを教えてくれました。

自分で起こした小さな行動が、つきまとう不安を振り払ってくれるはず。「私には何の経験もないから」「こんなにブランクがあって大丈夫なのだろうか」、そんなふうに考えてしまう自分から、今すぐ抜け出してみませんか。

 

前編
「キャリアとは、あなたが経験してきたこと全部。悩める女性たちに贈るこれからのキャリアの話」>>


人生100年時代、70歳まで働く時代に
自分らしいキャリアをつくる3つのヒント

 

人材論・組織論の世界的権威であるリンダ・グラットン氏が、世界的ベストセラーとなった著書『ライフ・シフト』を出版したのは2016年のこと。誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くかーー戦略的なライフ・キャリアづくりのノウハウが書かれた本書は日本でも大ブームになりましたから、実際に手にとった人も多いのではないでしょうか?

厚生労働省の調査によれば、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳で、いずれも過去最高を更新しています。「人生100年時代」は、私たち日本人にとっては本当に目の前に広がっている現実の話なんですよね。まして、女性はどうしても寿命が長くなる傾向にありますから、より切実です。

少子高齢化が急速に進むなかで、私たちは少なくとも70歳くらいまでは働くことを想定しておいたほうがいい世代です。そんななかで、自分らしいキャリアを歩むうえで大切だと感じることが大きく3つあります。
 

①まずは情報収集から。多様なキャリアの選択肢を知る!


私は前職時代もふくめて、これまで本当に多様な女性のキャリアに接してきました。「100人いれば100通りのキャリア」があることをまさに肌身で感じています。でも、さまざまなバリエーションがあることをまずは知らないと、その道を選ぶことはできません。その意味で多様な選択肢、多様なロールモデルを「まずは知る」姿勢を大切にするといいですね。今はnoteやブログ、ツイッターなどのSNSで自身の生き方を発信している人がたくさんいますし、YouTubeのような動画配信もあります。

たとえば、私が理事を務めている一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、『フリパラ』という公式noteを運営しており、フリーランスやパラレルキャリア(副業/複業)として働いている人のインタビューや実際のノウハウなどを日々発信しています。

 

コロナ禍によって、キャリアに関連するオンラインセミナーも毎日どこかしらで開催されるようになりました。手軽に情報収集できるようになったのは本当に素晴らしいことです。

私が会社員をやめてフリーランスとして独立した際も、周囲のフリーランスの友人・知人にまずは話を「聞く」ことからスタートしました。「どんな仕事をしているのか?」「どうやって仕事を獲得しているのか?」「具体的には24時間をどんなふうに使っているのか?」ーーとても原始的な手法ではありますが、実際に話を聞いてイメージをふくらませることは、着実に新しいことを始める一歩につながっていきます。

 
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