パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。

 

顔と心はつながっている……当たり前に聞こえるかもしれないけれど、「顔の表情が心を作っている」と言ったらきっと驚くはず。本当にそうなら、美容医療で表情を無理矢理変えれば、心も変わると言うこと?  と。

口角を上げて笑いながら、怒りを吐き出す。そもそもそんなことができるのは、大竹しのぶさんくらい。普通は、演技だろうと何だろうと不可能なはずで、そのくらい顔と心はひとつにつながっていて、相反する動きは出来ないよう作られているのです。

ましてや、「感情が表情を作る」のではなく、逆に「表情が感情を作る」ことも普通にありうることが、近年明らかにされています。

つまり、「口角を上げるだけで気持ちまでが明るくなる」と言われるのも、単なる精神論ではなく、科学的に証明された事実。怒りが収まらない時、ともかく無理矢理でも口角を上げてしまうと、多少とも尖った心が和らぐというのは、いわゆるアンガーマネジメントの1つとさえなり得るのです。

接客でいつもニコニコしていなければならない“営業上の笑顔”も、今までそれ自体がストレスになると思われがちでしたが、現実には逆に。感情をまろやかにコントロールしていたわけで、むしろストレスを軽減するための作り笑いでもあったということ。

 


眉間にシワが寄るから、
人は不機嫌になる?


人間の体は本当に神秘的。新知見が解明されるたび、そうした感慨に浸ります。であるならば、より良い人生を送るため、顔と心のそうした仕組みをもっと賢く利用すべきなのではないかと思ったのです。

そこで、口角上げはもちろんのこと、真っ先に利用すべき部位があります。それが眉間。いつも不機嫌な人は眉間にシワが寄っている……ひょっとしたら、これもまた逆かもしれないと考えたわけです。「眉間にシワが寄るから不機嫌になる」という理屈も成り立つはずと。

面白い話を耳にしました。眉間にボトックスを受けて、そもそもシワがよらないようにしたら、本当に落ち込むことが少なくなったという証言を。聞けば、ネガティブな感情を抱かないためにこそ、眉間にボトックスを受けている人が今、少しずつ増えているのだとか。それこそ目から鱗の逆転発想!

表情を不自然に固まらせてしまうことから、マイナスイメージが拭えずにいたボトックス。しかし、表情を固まらせることで、むしろ明るい感情を保てるのだとしたら、これは素晴らしい発見ではないかと思うのです。

実際に、1日に何度も眉間にぎゅっとシワを寄せている自分に気づくことがあります。そういう時、本当に心も暗い。眉間のあたりがどんより重く、さらなる不幸感を感じたりもしてしまう。やはり眉間には、集中力や創造力を司るチャクラが存在するからなのでしょう。ここのチャクラが弱ると、途端に猜疑心が強くなり、不安に陥るのだとか
だからでしょうか。精神的にも肉体的にも疲れている時など、眠っているのに眉間に力が入り、まさに寝顔がしかめっ面という、由々しき状態に陥ります。それで逆に脳がゆっくり休めない状況を作っていたりするのかもしれません。