<お通夜は明日の夜。お葬式は明後日できることになりました。>

翌朝、母から携帯に事務連絡が入っていた。

今フランスはサマータイムだから、日本との時差は七時間。私が自暴自棄になっている間、寝ている間にも、全てが進行している。家族は祖母の死を悲しむ余裕すらなく、つつがなく式を執り行えるよう着々と準備しているのだ。

 

自分が心底恥ずかしくなり、情けない。しかも飲みすぎたのか胸がむかむかして、寝不足で頭もぼうっとしている。

「今日は忌引、取ろう……」

祖父が亡くなったとき、従妹は「忌引」で仕事を休み、葬儀に参列していたような――。

早速フランスの忌引について調べてみると、祖父母には適用されないらしいとわかって慌てた。当然同じように休めるものと思っていたのに。

更に調べてみて、日本も法的な規定はなく、各企業に委ねられているのだと初めて知った。有給扱いになることが多く、一般的に配偶者が最長で十日間。次いで父親・母親が七日間、子供が五日間、そして祖父母、兄弟姉妹は三日間が目安らしい。

対してフランスは法的に定められているものの、「最長」ではなく「最低」休むべき日が決まっているようだ。最も長く有給設定がされているのは子供で、基本は五日間。配偶者やPACSのパートナーや同棲相手、父母、兄弟姉妹は三日間。配偶者や両親以上に、子供の喪に服する期間を長くとっているのが日本との大きな違いだなと興味深い。

なぜか広告業界など職種によっては祖父母も二日間の休みを定めているらしいけれど、うちの会社は当てはまりそうにない。有給でなくてもいいから、事情を話して休みを取ることにしよう。いくつか進捗さえ確認しておけば、急ぎの仕事はない。