ノックの音がして、マルゴがどろどろした白い物体を寝室に運んできた。

「体調どう? トーフとバナナのスムージーを作ってみたよ」

食欲がなくて朝ごはんはパスしたのだけれど、気使いに感謝してずっしり重いグラスを受け取る。

 

一口飲んで、ぐ、と詰まった。ベルヴィルの木綿豆腐は手作りで大豆の味がしっかりしているぶん、生臭く感じてしまう。甘さもキツく、ドリンクとしての調和がない。

「……サンパだね」
「仕事は休めそうなの?」
「たぶん」
「昼も私が作るから、今日はゆっくり休んで」

大丈夫、と返しそうになり、一拍置いてゆっくりと頷いた。

「ありがとう」

マルゴも満足そうに頷き、ベッドの上を陣取っているコネコに手を伸ばした。

「おいで、コネコ。祐希の邪魔しちゃだめよ」
「いいよ気にしないで。寝かせてあげて」

 コネコは「おや珍しい」とでも言いたげにチラと私に視線を送ってきたけれど、またすぐにそっぽを向いてしまった。