毎日のように目にする医療保険のコマーシャル。「〇〇歳になっても入れる」「持病がある人でも入れる」と言われると、やはり入っておくべき?と思えてくるものです。また、自分自身のことだけでなく、年金生活の親世代が「医療保険に入っているかどうか」が気になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今、知っておきたいお金の常識を、『かんたん年金家計ノート 2022』より、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんのコラムからご紹介しましょう。

医療保険が本当に必要なのはどんな人?保険料を払いすぎないための“やめ時”とは【ファイナンシャルプランナーが解説】_img0
 

●民間保険に頼らなくても備えは可能
「病気に備えるには民間医療保険にしっかり入っておくこと」と考える人はとても多いです。しかし、「貯蓄でカバーできないリスクにだけ民間保険で備える」のが原則です。病気にかかるお金の大半は健康保険でカバーできるため、民間保険に頼らなくとも貯蓄で備えることが可能といえます。年金世代が病気に備えるには「年金収入と貯蓄が基本」と考えましょう。

 

●がん治療で給付金は出る? 出ない?
医療保険は入院もしくは手術をしないと、給付金が出ません。ところが、医療技術の進歩により、入院しなくても通院でできる治療が増えています。その最たるものが、がん治療でしょう。以前は抗がん剤治療といえば、数ヵ月にわたる入院が必要でしたが、現在は通院でできます。放射線治療も同様に通院で可能です。手術は入院を伴いますが、入院日数は短期化の傾向にあります。

●意外と頼れる!日本の健康保険制度
日本の健康保険制度は充実しています。60代の年金生活者なら自己負担額は最大で月6万円~9万円で済み、70歳以上はさらに負担は減ります。数週間入院するようなことになり、10万円近い出費があると家計には痛手ですが、10万円くらいであれば貯蓄からの捻出は可能でしょう。民間保険で備えると、保険料を毎月払っていかなくてはなりません。

●それでも医療保険が必要な人って?
医療保険が必要なのは、まだ貯蓄が貯まっていない人、フリーランスで収入が安定していない人です。入院しても年金がストップすることはありませんし、老後資金も備えになります。年金世代は、医療保険の必要性が低いといえます。仮に保険料が月5000円なら、60歳から20年間払うと総額120万円にもなります。年金生活になったら医療保険からの卒業を考えるといいでしょう。

『かんたん年金家計ノート 2022』シリーズ(全3回)第1回「【簡単&時短レシピ】万能「あっさりポトフ」で作る3日間アレンジメニュー」
第2回「医療保険が本当に必要なのはどんな人?保険料を払いすぎないための“やめ時”とは【ファイナンシャルプランナーが解説】」
第3回「「親を介護していると税金が安くなる」意外と知られていない控除の仕組みと条件とは【ファイナンシャルプランナーが解説】」12月15日公開予定

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『かんたん年金家計ノート 2022
講談社・編

年金生活に対応した一番使いやすい家計簿。費目や記録ページが年金生活に完全対応。コラムもシニアライフに役立つものばかり。

マネー特集:深田晶恵さん「年金生活で『本当に要る保険』を知る」「医療保険に入る前に知っておきたい健康保険制度」など気になる情報を掲載。

料理特集:本多京子さん「元気で暮らすためのラクケン料理 手間貯金のすすめ」ただの手抜きではなく、ラクして賢く作る健康ごはん、略して「ラクケン」。シニア世代のための、毎日のごはん作りが楽になって「手間貯金」ができ、しかも体によいレシピの数々をご紹介します。

週末コラム:深田晶恵さん「定年後のお金の常識」シニア世代が知っておきたい「確定申告」「医療保険」「年金の繰り下げ受給」「贈与」などについてわかりやすく解説します。

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深田晶恵
個人のお金の相談を受けるファイナンシャルプランナー(FP)。(株)生活設計塾クルー取締役。FP歴は26年。金融商品や保険商品の販売を一切せずに、中立な立場で一般の方の退職後の生活設計などの相談を受けている。80代、90代の夫の両親と同居しているので、高齢者のお金のアドバイスに定評がある。著書に『知識ゼロの私でも! 日本一わかりやすいお金の教科書』『図解 老後のお金 安心読本』(以上、講談社)、『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』(日経BP)など多数。