『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(以下、『ハコヅメ』)に、『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(以下、『恋です!』)。いま、「水10」ドラマがかなり熱いです! というのも、最近の「水10」(水曜夜10時〜放送枠)は、枠自体のコンセプトがはっきりしているんですよね。
『恋です!』の公式サイトには、“日本テレビ水曜10時は「様々な女性の生き方」を届けるドラマ枠”と書かれていました。ラブコメ路線が定着している「火10」や、人情劇が続く「金10」など枠の個性が立っていると、続けて視聴する人も多いんです。“前作が面白かったから、今作も観よう”という感じで。この枠の作品は私の好みだな……と分かりやすいのも良いです。
ただ、キャラ立ちしている「火10」や「金10」に比べると、これまでの「水10」は、いまいち色がはっきりしていなかった。一応、2016年放送の『世界一難しい恋』以降は女性を主役に据えた作品が続いていますが、“言われてみれば……”というくらい。「水10」としてメッセージが定まっている印象は、正直薄かったです。
「水10」ブランドが確立されてきたのは、7月期の『ハコヅメ』からでしょうか。その前の『恋はDeepに』は、ヒロインの正体がまさかの人魚という……。“様々な女性の生き方”を描いているという点では同じかもしれないけれど、『ハコヅメ』『恋です!』とは、少し路線がちがいます。ファンタジー要素が強かった『恋はDeepに』に打って変わり、『ハコヅメ』は“現実”を体現した作品でした。原作『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』を描いたのが、元警察官の泰三子氏ということもあり、“警察官の素顔”がリアルだった。しかし、ただ暗いだけで終わらないのが「水10」なんです。明るく楽しく観ながら、学べるポイントもあり。翌日から、世界がちょっぴり変わって見えるのも、この枠の特徴だと思います。
『ハコヅメ』の後枠としてスタートした『恋です!』も、初めはこんな良作になるとは思っていなかった……。同作は、弱視の主人公・ユキコ(杉咲花)と不良少年の森生(杉野遥亮)の恋を描いた物語。ハンディキャップを背負った少女に出会い、青年の意識が少しずつ変わっていく––––––、というのは“あるある”でもありますよね。ただ、『恋です!』は少しちがう。ハンディキャップを持つユキコの存在を、”特別”にしていないんです。森生は、身体的なハンディキャップは持っていないけど、自分のことを“普通”じゃないと思っている。彼の目には、ユキコが“普通”に見えているんですよね。一筋縄ではいかないから、何度でも観たい。たくさんのメッセージが詰まっている『恋です!』は、『ハコヅメ』に魅了された人々を、「水10」の沼に引き込んだ作品です。
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