置かれた場所で、咲かないこともある 


無職になってしまいました。辞める前は辛くて毎日家で泣いていましたが、その時に考えたことが頭をよぎります。

「仕事って、果たしてこんなに辛いものなんだろうか? 私は本当に『仕事』に向いていないのだろうか? もしかして、好きなことや得意なことが生かせれば、違う景色が見えるんじゃないか?

自分に自信がなく、自己肯定感が下がっていますから、「いやいや、それは甘えてるだけ」と思う冷静な自分もいました。

でも、試してみたかった。高校時代、周囲に馴染めずアメリカに飛び出した経験が、自分の中に糧として残っていたんだと思います。まずは動いてみよう。そう思いました。

そこで以前から気になっていたヨガインストラクターの資格を取りに、ハワイのマウイ島に行くことにします。

そこでは錆びていた「心と体を繋げる回路」が再起動する感覚がありました。

私、生きてるし、まだまだ元気だ。そう思えました。3年分の深呼吸。まさにそんな感じです。

 

1社目の会社は1年、2社目の会社は3年で辞めてしまった。私、社会人失格? いや、働きたい気持ちは人一倍ある。もしかしてできることと、できないことがすごくはっきりしてるタイプなのかも……

 

軽くなった心と体で、自分の弱さも足りないところも、認めて分析することができました。

いい兆候です。この調子。無事にインストラクターの資格を取得したあと、のちに仕事でタッグを組むことになるキーパーソン、弟と妹と一緒に南米に旅に出ることにしました。ちなみにこれは仕事も資格もまったく関係ありません(笑)。

夢に見たマチュピチュ、ウユニ塩湖、ブラジルをまわりました。大好きな弟と妹と、夢の場所に立ったとき、私はまだいける! 挑戦できる! と完全復活。

本来クヨクヨするのは好きじゃない。弱さを認めたら、また歩きだすだけです。

 

帰国して、じっくりと周囲を見回すと、世間は3年後の東京オリンピックにむけて準備が進んでいました。スポーツは見るのもするのも大好き。東京で開催されるオリンピックに、仕事で携わることができたらどんなに楽しいだろう。

私は、好きと仕事を切り離すのをやめました。挫折を経て、私の場合、まずは好き・楽しそう、というところから始めてみようと思いました。

かたっぱしから周囲の人に聞いてまわりました。オリンピックに携われる仕事の求人があれば挑戦したいと言い続けたある日、知り合いがぽろっと口にします。

「広告会社で、有期でオリンピック関連事業の人材を募集してるよ」

すぐさま、応募を宣言、無我夢中でレジュメや自分なりの事業の展望をまとめました。

タイミングと情熱があれば、ご縁を引き寄せることってできるんですね。

無謀な挑戦と誰もが思いましたが、なんと、採用。オリンピック関連事業部署のプロデューサーとしての生活が2017年から始まりました。

ここからついに、人生の風向きが変わります。