働き盛りの世代にも、容赦なく襲ってくる親の介護問題。厚生労働省の雇用動向調査によると、「介護・看護」を理由に離職した人は約10万人(2019年)。仕事を続けながら在宅介護をしようとすると、「何時まで施設で預かってもらえるか」が重要なポイントになってきます。

時間に融通の利かない預け先が見つからないと仕事はどうなる!?


今回紹介する真理子さんは、フルタイムで出版社に勤務。2人の息子のお受験が終わったと思ったら、今度は親の介護問題が降りかかってきたのです。遠方に住む父親は要介護2でしたが、施設には入りたくないと言います。そこで真理子さんは自宅に父親を呼び寄せ、在宅介護をすることになりました。しかし日中仕事で家を空ける彼女は、自宅に介助の方が来る訪問介護は向いていないと判断。施設に通うデイサービスを利用することにして、せめて18時まで預かってもらえる施設を探し始めました。

 

まずは地域包括支援センターに相談


そこで真理子さんが向かったのが、「地域包括支援センター」と呼ばれる介護の相談窓口です。介護に直面した時、まずはこの地域包括支援センターに相談に行くのがスタンダードなパターン。住み慣れた土地で介護ができるよう、そのエリア内に住む65歳以上の高齢者や支援に関わる方が利用できる機関で、介護サービスの相談や介護保険の申請などを行ってくれます。

この地域包括支援センター、国や市町村が運営していると思いきや、実は自治体から委託された社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営を行っています。そのため、その事業者が運営する介護サービス事業所を中心に勧められるので、住んでいるエリアによっては希望する介護サービスに巡り会えないことがあるかもしれません(地域包括支援センターは自分で選べず、住んでいる住所地によってどこの地域包括支援センターが担当なのかが決まってしまいます)。

案の定、地域包括支援センターの職員から推薦された3つの事業所は、すべて9時から16時までしか利用できない施設のみ。フルタイムで働いていることを伝えたにも関わらず、長くても17時ぐらいまでのところがほとんどでした。夕方までに迎えに行かなければならないとなると、時短勤務にならざるを得ません。それでは真理子さんの仕事が立ちゆかなくなってしまいます。

月額定額制で利用できる介護保険サービス「小規模多機能型居宅介護」とは


そこで、今の生活スタイルを崩さずに仕事と介護を両立できる方法がないかを模索し始めた真理子さん。ネットを駆使してくまなく探したところ、ようやく理想とする施設を見つけることができました。それが「小規模多機能型居宅介護」と呼ばれる預かりサービスだったのです。

 
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