30閉経後の病気予防に！更年期の不調がなくても、ホルモン補充療法を受けるのもアリ【産婦人科医・高尾美穂】

エストロゲンがなくなった後に
ホルモン補充療法を一生続けても、
何も問題ありません

更年期の不調の改善に効果的なHRT（ホルモン補充療法）ですが、これといった不調がない人でも受けるのはアリです。

閉経後はエストロゲン（卵胞ホルモン）の分泌がなくなるため、エストロゲンの骨を強くする作用や、血管の柔軟性を保つ作用、LDL（悪玉）コレステロールの増加を抑える作用などが失われ、骨粗鬆症や動脈硬化などの病気になりやすくなります。

でもHRTでエストロゲンを補えば、このようなリスクを減らせるので、病気の予防になるのです。
ですから更年期の不調はなくても、積極的にHRTを受けるのはひとつの選択肢です。
〝人生100年〟と言われるいまの時代、健康寿命を延ばすためにも、HRTを取り入れるのはよい方法だと思います。不調がない場合でも、保険適用になるので安心です。

経過観察をすれば、HRTは5年以上続けてもOK

HRTは、〝使用期間は５年まで〟などと言われることもあるようですが、定期的に婦人科で経過観察を行い、乳がん検診や血液検査を含む定期的な検査を受ければ、一生続けても問題ありませんし、実際にずっと続けている人もいます。

近年、HRTの動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの予防効果は、HRTを始めてから５年以上経過してから得られることもわかってきています。