血液の流れが悪くなる「心臓の老化」


例えば、心臓でも様々な変化が生じます。心臓には4つの部屋があり、それぞれの部屋の間には、血液が逆流しないように、一方向にしか開かない「弁」と呼ばれる扉がついているのですが、その扉にカルシウムが沈着して硬くなり、扉のたてつけが悪くなるという変化が見られます(参考文献2)

 

長年使っているドアが軋んで開きにくくなるように、心臓でも扉のたてつけが悪くなることがあり、扉が開きにくくなって、結果として血液の流れが悪くなるなどの変化が生じる可能性があります。

 

あるいは、心臓の筋肉を形づくる細胞の数が細胞の死により減っていくことが知られています(参考文献3・4)。数が減った分、より少ない細胞で同じ力を出そうとするので、一つ一つの筋肉の細胞のボリュームは大きくなります。

また、心臓全体としても血液を全身に送り出すポンプの機能を維持し続けるために、筋肉トレーニングをし続けた時と同じように、心臓の壁が年齢とともに少しずつ分厚くなっていくことも知られています(参考文献5)

一方、心拍数は、年齢とともに減っていきます。人が出せる最大の心拍数は(220-年齢)/分で計算できることが知られています(参考文献6)。例えば、40歳の人なら、最大で1分間あたりの心拍数は180回まで増加できますが、80歳になると、これが140回まで減ります。

こういった影響も受けて、運動をしている際の心臓の血液の出力は少しずつですが減っていきます。すると、全身に酸素を届ける力が弱まることにつながるので、若い頃に耐えられた運動強度に加齢とともに耐えられなくなるということが生じえます。

こういった変化は、トレーニングを続けるなどの生活習慣によって向上することも知られていますが、例えば最大心拍数の変化はトレーニングをしている人でも生じることが報告されています(参考文献7)