予防は発症頻度の高い病気を重点的に


さらに、次のグラフを見ていただくと、認知症は年々増加傾向にあることがわかります。現在は65歳以上で20%を下回りますが、2025年には、5人に1人が認知症になるだろうと予測されており、さらに増加の一途をたどる見込みです。

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学二宮教授)をもとに作成


こうして統計を見ていると、逆に若い頃から重点的に予防しなければならないポイントが見えてきます。入院したり命を落としたりする理由で多いのが、脳卒中、がん、心疾患、肺炎であれば、これらを予防する策をとっておけば、多くの病気を防げそうです。

 

もちろん、それ以外にも数え切れないほど様々な病気が存在するわけですが、1%の人にしか起こらない病気の予防に精を出すよりも、まずは頻度の高い病気の予防を重点的に行う方が、効率が良いことはお分かりいただけると思います。

そして、これらの病気の多くは要因が明らかになっていて、生活習慣にも密接に関連するものです。すなわち、高血圧、糖尿病、コレステロール、喫煙のような問題をしっかり予防、治療し、がん検診でしっかりとがんを早期発見し、ワクチンで感染症を予防する。このような対応により、多くの病気から体を守ることができそうだということが見えてくるのではないでしょうか。
 


前回記事「心臓や腎臓はどう老化する?健康な生活習慣で臓器を守れ【医師・山田悠史】」はこちら>>


参考文献
1 内閣府「平成29年版高齢社会白書」

 

構成/中川明紀
写真/shutterstock

 
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