電気代やガス代が毎月のように上がったり、食品メーカーがマヨネーズの価格を再度、引き上げるなど、物価上昇が止まりません。一方でニトリのように値下げ商品を拡大した事業者もあります。安い商品を見つけると思わず手が出そうになりますが、安い商品があった時は迷わず買った方がよいのでしょうか。それとも、慌てずに様子を見た方がよいのでしょうか。
商品が値上がりするタイミングでの買い物は判断に迷うことが多いと思います。値段が上がると、「今のうちにたくさん買っておかないと安く買えなくなってしまう」という心理が働き、場合によっては必要でないモノまで買ってしまう可能性があります。その後、価格が下がったら損をしますし、買ってはみたものの結局は使わずに捨ててしまっては元も子もありません。一方で、買いたいと思っていた商品が値上がりすると非常に悔しい思いをします。
将来、物価がどうなるのかを「予言」することはできませんから、あくまで「予想」という範囲にとどまりますが、商品の値動きで損をしないためには、値上げ、あるいは値下げが一時的なものなのか、恒常的なものなのか考えて決断する必要があります。
今、商品の値段が上がっている最大の理由は、コロナ後の景気回復期待による需要の増加です。もしこれだけが値上げの理由であれば、コロナ危機で縮小した経済が元に戻る過程でアンバランスが生じただけですから、しばらくすると価格は落ち着くことになります。
一方で、今回の値上げには別の要因があるとの指摘もあります。一連の値上げを主導したのは原油価格の上昇ですが、景気回復期待以外の要因が密接に関係しています。それは新興国の経済成長による継続的な需要拡大と脱炭素の流れです。
近年、新興国の経済成長が著しく、資材や食糧、エネルギーなどあらゆる商品に対するニーズが高まっています。アジアの大都市では、日本とほとんど品質の変わらないタワーマンションが次々と建設されていますし、街中は多くの食材で溢れかえっています。新興国は総じて人口が増えていますから、全世界的にエネルギーやモノの争奪戦が始まっており、原油の価格高騰はその前哨戦に過ぎないとの見方が台頭しているのです。
脱炭素化の流れも物価上昇を後押しします。ここ数年、先進国は急速に脱炭素化に舵を切っており、近い将来、石油の需要は大きく減ると予想されます。産油国にしてみれば、稼げるうちに稼いで起きたいとの意向が働きますから、簡単には減産に応じません。結果的に原油価格は高止まると見る専門家が大半です。
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