米国の中央銀行に相当するFRBのパウエル議長も「インフレは一過性ではない」と発言していますから、少なくとも半年程度で収束するという状況ではなさそうです。こうした予想が主流であるならば、物価上昇はしばらく続くと考えた方がよく、そうなると、買いだめにも一定の合理性が生じることになります。

 

事業者にとっては仕入れ価格が上がって苦しい状態ですから、今、値下げしているところは、とにかく客数(販売数量)の確保を優先したいと考えているはずです。そうであれば、それなりの品質の商品を安く売っている可能性が高いですから、必要なモノならば買っておいて損はないでしょう。

 

来年、商品の値段が変わらなくても、仕入れ価格がさらに上がれば、事業者は品質を落として価格を維持しますから、今、買った方が、同じ品物を安く入手できる可能性が高まります。

しかしながら、モノを保管するためにはコストがかかりますし(モノを家に置いた場合、そのスペース分の家賃だけ損していると考えるべきです)、不必要なモノを買ってしまっては本末転倒です。

家電など長持ちする商品で、価格が高く、確実に利用することが分かっている商品であれば、思い切って購入してもよいのではないでしょうか。筆者は今後、パソコン価格がさらに上がることを予想しており、新しいパソコンが必要になることも分かっているので、パソコン本体や周辺機器のいくつかをまとめ買いしました(次世代の基本ソフトに対応できるようスペックを高く設定しました)。

当然ですが、食品や日用品についてはインフレが進んでも買いだめする効果は高くありません。何年分も家に保管できるわけではありませんし、まとめ買いによるムダの方が大きくなるのはほぼ確実です。

物価上昇が長期化する場合には、安いうちに買っておくよりも、支出のムダを削減する方が家計にとっては圧倒的に効果があります。これから年末にかけて買い物をする機会が増えると思いますが、基本的に余分なモノは買わないというケチケチ路線を堅持していれば、大きな間違いにはならないでしょう。


前回記事「厳罰化でも「あおり運転」が減らないワケ。被害に遭わないための最善策とは」はこちら>>

 
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