ただただ「生きること」に意味がある


人は、生きているだけで意味があります。「生まれてから死ぬまで、命を全うする経験」そのものに、意味があるのです。その意味は、命が尽きるまで分からないかもしれませんが、意味がなければ、そもそも“人智を超えた力”によって生れてこなかったはずです。
世の中にある出来事はどれも偶然のようで、必然なのです。

 

無人島に1人で生きているのではない限り、必ず自分の存在が人に影響を与えています。例えば、ミリオンセラーになった『漫画 君たちはどう生きるか』(著:吉野源三郎、イラスト:羽賀翔一/マガジンハウス刊)では、主人公のコペル君が、粉ミルクが手元に来るまでに多くの人々が関わっていることを知り、人間は網目のように影響し合いながら、世界を変えている分子のような存在だと発見します。
誰かが牛からミルクを絞らなかったら、工場で粉ミルクにする人がいなかったら、粉ミルクの商品を運ぶ人がいなかったら、この粉ミルクが自分の手元に届くことはない。みんなでこの世界を作っているし、何かしら影響を与えているのだと。

<僕の考えでは、人間分子は、みんな、見たことも会ったこともない大勢の人と、知らないうちに網のようにつながっているのだと思います。
それで僕はこれを「人間分子の関係、網目の法則」ということにしました>

ーー『漫画 君たちはどう生きるか』(著:吉野源三郎、イラスト:羽賀翔一/マガジンハウス刊)より

だから、自分が認識している部分だけでは分からなくても、全体を通すと、自分の存在意義が見えることはあるのかもしれません。

とはいえ、「今すぐに、自分が生きている意味を知りたい。そうでなくては、苦しくて仕方がない」という人もいるでしょう。そういう人には、書籍『100%幸せな1%の人々』(著:小林正観/中経出版刊)に書かれた、ある考え方が参考になるかもしれません。

<私たちが目の前の現象について悩んだり苦しんだりしているのは、そのことを受け入れず、否定していることから始まります。
どんな問題をも解決することができる「3秒」の方法があります。(中略)
その方法とは、
1秒目……過去のすべてを受け入れること
2秒目……現在のすべてを受け入れること
3秒目……未来のすべてを受け入れること
これで終わりです。自分に起きたことやこれから起こることは、すべて自分が成長するために必要だ(った)と思うこと。
目の前に起きる現象をそのまま認めれば、ラクに生きることができるのではないでしょうか。>

ーー『100%幸せな1%の人々』(著:小林正観/中経出版刊)より

結局、「(理想通りではない)現実を受け入れられないから、苦しんでいる」といっても過言ではありません。それは、「人生」という名の川の流れに逆らって泳ごうとしている状態とも言えるでしょう。
とはいえ、「ただただ流されるように生きる」ことを推奨しているわけではありません。一旦、現状を受け止めるからこそ、「これから何ができるのか」を考えられるようになるのです。まずは現状を受け止めない限り、ただただ嘆き、そこに立ち止まってしまう恐れがあるからです。
先に進むためにも、「状況を受け止め、腹をくくる」ことが大切なのです。

「すべてを受け入れる」というのは、「今生きているのだから、そこに疑問を抱かず、生き続けよう」と思うことでもあります。
「なぜ生きるのか」ではなく、「生きることを、ただただ受け止める」「もう生きているのだから、受け止めるしかない。だったら、これから幸せになるためには、どうしようか」と考える。そういう思考を持てるようになったとき、前向きな気持ちで新たな一歩を踏み出せるのかもしれませんね。


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