「早寝早起き朝ごはん」が健全な脳を育てる

「早寝早起き朝ごはん」で優れた脳に!ノーベル賞科学者・山中伸弥教授が語る子育てとは_img0
 

「早寝早起き朝ごはん」が子育てに良いことを確信した山中さんと成田さんは、その理由を深く探っていきます。小児科医として子どもの脳を研究する成田さんは、科学的根拠を交えながら「早寝早起き朝ごはん」の大切さを力説するのでした。

 

成田 特に子ども時代は、早寝早起き朝ごはんによって脳とこころとからだのバランスを維持できます。なぜなら、脳は体の機能、情動、自律神経などの働きをつかさどる「古い脳」ができてから、記憶や思考、情感をつかさどる「新しい脳」が発達し始める。最後に適切なコミュニケーションに欠かせない「前頭葉」が育つという順番があるんです。

山中 脳が育つのにも順番があるんや。

成田 ところが、夜更かししたりしてベースになる古い脳を育てないまま、塾とか習い事等々で新しい脳を育てるところに走っちゃうと、バランスが崩れてしまうの。子どもは早寝早起きさせて、ちゃんと朝ごはんを食べさせていればすべてうまくいくんです。

山中 そこ、言い切るんですね。

成田 断言できます。それでみんな調子が良くなってるから。コロナ禍になっても、私のところ(成田さんが代表を務める支援事業「子育て科学アクシス」)に来ている子どもたちは休校中でも早寝早起き朝ごはんを継続しています。そうすることで、コロナ疲れとか心身の不具合を解消できました。つまり、エビデンスがいっぱいあるんです。その意味では、山中君も、早寝早起き朝ごはんが脳を育てたという大きなエビデンスですし。

山中 いや、僕で良ければエビデンスにしてください。小さいころから基本、早起きですね。今でも睡眠は非常に大切にしています。よく「山中先生は忙しいだろうから、睡眠は3時間くらいですか?」って言われるのですが、そんなのホントあり得へんから。7時間か8時間、できるだけ眠るようにしています。そうしないとつらいでしょう。つらいなあって思いながら仕事してても、効率は上がらない。それこそ不機嫌な顔になって周囲に迷惑をかけてしまう。

成田 すでに話しましたけど、私自身、早寝早起きが絶対にいいんだと実感しています。長い間、自分の自律神経の数値をとり続けていますが、中学時代の具合の悪さが噓のように、今はすごく良くなってる。ひたすら生活リズムを整えてきたおかげです。それがあるから、すべて前向きに考えられるんだと思う。