エンタメ業界で活躍するライター6名が、2021年に公開・放送・配信(海外作品は2021年日本公開)された作品から「個人的ベスト5」を選出。まだビミョーに遠出はしにくい今年の年末年始。家で過ごす時間は、気になっていたあの作品のイッキ見に費やしてはいかが?

選者:長谷川朋子さん(テレビ業界ジャーナリスト/コラムニスト)動画サブスクサービス発の超個性的な実力を見せつけた話題作5本が2021年マイベストです。韓国から生まれた「イカゲーム」も、フランスの「Lupin/ルパン」も外せません。コメディだったら「テッド・ラッソ」の一択。我が道を行くスタイルの「THE FIRST」や「パリスとお料理」は一度見たらクセになる味わいです。


超話題作『イカゲーム』は引き返せない怒涛の展開

『イカゲーム』 写真提供:Netflix

今年最もバズったドラマと言えば、韓国発Netflixシリーズ『イカゲーム』です。謎のデスゲームに挑む緑のジャージ姿のプレイヤーたちから、マスクと赤い繋ぎのユニフォームを着たホストに、不気味な声色で「「ムクゲの花が咲きました」(「だるまさんがころんだ」)」を唱える巨大な少女型のロボットまで、どれを切り取ってもキャッチーなビジュアル。惹かれるがまま観たら、引き返せない怒涛の展開で最後まで引っ張ります。

 

大泉洋似のイ・ジョンジェ演じる主人公ギフンをはじめとする魅力的な登場人物たちが織り成す絆や裏切りなど、韓国ドラマお得意の人間ドラマも満足度を高めます。格差社会を描いた構造がこれまた深みを持たせます。海外ではメキシコから火がつき、一気に各国で人気が広がったとか。世界で1億4000万世帯以上が視聴したNetflix歴代1位の視聴記録を持つ超話題作は見逃せません。


パリの美しい名所を舞台に現代版ルパンをイッキ見

『Lupin/ルパン』 写真提供:Netflix

映画『最強のふたり』で世界的にブレイクしたフランスを代表する俳優オマール・シー主演の『Lupin/ルパン』はシーズン1&2イッキ見必至です。凱旋門にシャンゼリゼ通り、セーヌ河、ルーヴル美術館など、パリに行ったら必ず訪れたい美しい観光スポットを舞台にしながら、現代版「怪盗紳士ルパン」を楽しめる作品。

シー演じるアサンが想像力と知恵だけを武器に、巧みなトリックで汚職にまみれた大富豪相手に父親の敵を討つ話がテンポ良く展開されます。日本でお馴染みモンキー・パンチの『ルパン三世』を彷彿とさせる女性に優しい紳士的なキャラクターも好感度大。Netflixの非英語オリジナル作品の中で世界的に最も視聴されたベスト3に入るフランス発ヒット作であることを観たら納得できるはず。


歴史を塗り替えたAppleTV+海外コメディ実力作

『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』 写真提供:Apple TV+

Apple TV+オリジナルシリーズの『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』は海外コメディドラマの今年の顔。ジェイソン・サダイキス演じる主人公のテッド・ラッソと仲間たちが英国サッカープレミアリーグの架空のチームを立て直していく話がなんとも爽快です。カルチャーネタから中年男女の恋バナ、大人の友情に至るまで、ユーモアとウィットに溢れた会話劇は絶品。

劇中に流れるオアシスやニルヴァーナなど90年代色強めのUKミュージックは気分を盛り上げてくれます。世界のテレビ番組の最高峰と称される今年のアメリカのプライムタイム・エミー賞で歴史を塗り替えるほどの実績を残した実力作でもあります。アップル愛用者に向けた「中年男性×サッカー」ドラマだと侮ってはいけません。最新シーズンも男女共にキャラクターたちの生き生きとした人間味のある姿に笑って、泣けて、元気をきっともらえます。

 
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